*B部門入選作発表*


兼題『季語:辛夷』『漢字:島』=全83投句(入選60句)

【特選】

一席
●牛の目の穏やかにして島は春=砂太


◎子、し、秋、メ○ま、白、秀、資△十、遊、朱=23点
(し:なんとも穏やかな光景が目に浮かびます。穏やかな牛の目、春ととても合います。 秋:平穏で暖かな春の日差しや空気感がよく伝わります。 資:牛を放牧している島、まさに春。 ま:島ののどかさがよく表現されていると思います。 白:牛の目をじっと見つめていたい。 秀:「にして」が必要かな。 十:まったり感が出ている。 遊:のんびりゆったり〜 朱:穏やかにして…は言わずに穏やかな景を描写出来たら…と思いました。)


二席
●飛花落花島に一つの信号機=やんま


◎白、裕、智○十、ま、朱、メ△清、葱、秀、資=21点
(白:静かな島の佇まい。 智:長閑な景色です。車の殆ど通らない広い道に桜吹雪が舞い散っています。 朱:これも類句がありそうですが、島の桜吹雪の景色が美しく見えてきます。 裕:ほとんど車も、多分人も通らない島で、桜吹雪が待っている。コロナ禍そういうところも多いんだろう。この切り取りが上手い。 十:三十年ほど前に西表島で同様の経験をした事を想い出しました。 ま:私の知る島もこうでした。信号機の向こうに大きな桜が見事に花開いている様が見えます。 清一:隠岐島あたりの光景だろうか。飛花落花の季語が静かな島の情景に合う。 葱:映画のロケーションにも使われそう。 資:一つの信号機しかない島。 秀:「島に一つの」は、定番ですけどね。)


三席
●島唄の声うら返る月おぼろ=雪絵


◎葱、紅、入○ラ、智△ま、遊、修、資=17点
(入:高音の乾いた声に朧の湿度の取り合わせが憎い。 紅:島唄を詠んだ句はどれも素敵でしたが、私はやはりこれが好きです。 葱:安易に使いたくなる「月おぼろ」の季語ですが、ここはぴったりとはまりました! ラ:「声裏返る」という表現が巧み。 智:奄美特有のこぶしが、茫洋とした月の映る海に響いています。 ま:奄美の方の島の春の夜が想像されます。 遊:季語が効いていると思います。 修:うら返るとき月も表情が変わるような感じ。)


【入選】

●島に来て園児たちまち蝶となる=砂太
◎雪○清、子、紅、香、入△白、ラ、茶=16点
(雪:園児たちのはしゃぐ様子が目に見えるようです。 清一:開放感味わった園児たち、ここでは蝶は擬人化の季語だが様子が浮かぶので良い。 香:蝶、単に比喩ではなく、蝶と一緒に飛び回ったのではないか。 入:能古島でしょう、園児たちは陸からの解放感を 知ってますね。 白:この感じよく分かります。 紅:納得!子供たちの様子が見えます。 ラ:感覚的な句ですが、よく分かります。 茶:わー!という歓声とともに三々五々に。溌剌として頼もしいです。)

●春昼や人より猫の多き島=紅椿
◎清○入、秋△遊、修、秀=10点
(清一:瀬戸内海に浮かぶ青島のことだろう。住民15人猫100匹以上、様子が良く浮かぶ佳句。 遊:ねずみ年の私は恐怖です^^ 秋:行ってみたい! 修:のどかです。せんべいをやったらぷいと去って行ったっけ。)

●ローセキで絵を描きし路花辛夷=スライトリ・マッド
◎砂○久、裕△雪、秀=9点
(裕:昔は車も少なかったので道路に結構落書きされていた。その道に多分昔もあった花辛夷、良い景です。 秀:「絵を描き」がややダブっているような。)

●浮き島よりたんぽぽの絮飛び立ちぬ=ラスカル
◎ス、秀○や=8点
(秀:「浮き島」も「たんぽぽの絮」もふわふわと浮いて。 や:風に任せる果てしなき旅。)

●燻製屋の煙ひと筋花辛夷=まさこ
◎や、修△砂、雪=8点
(や:旬なるものの燻されてゆく。 修:生活の営みを見守っているような辛夷、あるいは動物の死と植物の生のリアル。)

●辛夷咲く此処より風の洗はれて=朱河
◎茶○や、雪△入=8点
(茶:辛夷が浄化作用に。黄砂に負けるな。 や:透明な風ここに生まるる。)

●辛夷咲くピアニカで吹く通りゃんせ=秋波
◎朱、資○雪=8点
(朱:ピアニカの高い音色が辛夷を包むようでとても美しい景を想像させます。 資:ピアニカが効いている)

●伊勢湾を目指す木曾川辛夷咲く=遊歩
◎十、始=6点
(十:シンプルだが辛夷を借景とした大きな景が魅力。)

●濃く淡く浮かぶ島影春の暮=十志夫 
○子、紅、し=6点
(紅:癒される風景です。 し:伊勢志摩の景色を思いました。影に着目した点が素晴らしい。 ) 

●月朧島の宿りの遠汽笛=まさこ
◎遊○始△裕=6点
(遊:旅をしたくなりました!)

●眠たさや島を縁取る花筏=秀子
◎喋○葱△入=6点
(葱:小島に打ち寄せる波の音が聞こえそう。 入:桃源郷の境地。73番の防潮堤の句となんて違うことでしょう。)

●防潮堤の覆ふ島々春夕焼=十志夫
◎ラ△久、香、入=6点
(ラ:どうか、津波が来ませんように。「春夕焼」でほっとします。 入:東北太平洋側の島々でしょう、残念を春夕焼が覆ってくれます。)

●山木蓮日に一便の島渡船=茶輪子
○久、香、秋=6点
(秋:過疎の地にも季節は忘れずめぐって来る。景がよく見えます。)

●イグワナの犇めく島や月朧=しゃが
○葱、秀△ラ=5点
(葱:まるで異星人の棲む星に上陸したみたい。 秀:ちょっと怖いですけどね。 ラ:イグワナが迫って来るような感じがします。)

●島めぐるぽんぽん船や春鴎=まさこ
△始、ス、紅、裕、資=5点
(紅:昔ながらの風景、いいですね。 資:昭和な風景ですね。)

●島を出ていつまた帰る春ショール=始祖鳥
○茶△白、砂、朱=5点
(茶:地方出身者の身の置き所はふるさととしたい所ですが、難しい世の中です。 白:お嬢さんが行ってしまったーーー。 朱:既視感はありますがドラマある一句と思って頂きます。)

●直島の春は彌生の赤かぼちゃ=智雪
○喋△葱、し、茶=5点
(し:まだ行く機会がないけれど、是非とも行ってみたい! 葱:まだ行ったことないので、一度は訪れてみたい島です。 茶:何度も訪ねた直島の風景が思い出されました。黄かぼちゃのほうが古株ですね。)

●平飼で集む卵や花辛夷=秋波
◎久△子、し=5点
(し:田舎の庭で飼われている鶏を想像しました。花辛夷が合っています。美味しそうな卵!!)

●比良八荒沖島渡る船の影=清一
○遊、裕△智=5点
(遊:琵琶湖畔に住んでいた若い頃をおもいだします。 智:大荒れの北湖に揺れる小さな船が見えます。裕:比良八荒は、単にこの時期の比良おろしという以外に、言い伝えもあり深いものらしい。風にゆれている渡し船が浮かぶ。)

●青空を掴んで優し辛夷咲く=久郎兎
○砂△喋、メ=4点

●浮雲や名もなき島へ花の旅=朱河
○し△白、子=4点
(し:浮雲が気ままな旅を上手く表していて、それが花の旅なのだからなんて素敵な旅でしょう!白:全体の流れが美しいですね。)

●陽炎へる毒ガス倉庫のありし島=香久夜
△十、葱、ス、秋=4点
(十:何処あたりでしょうか。倉庫の扉には髑髏マークがあるかも。 葱:ハッとさせられる光景。 秋:かつての倉庫の廃墟が揺らいで見える。どこの島なのでしょうか。「毒ガス倉庫」がズシリと響きました。中八なのが残念。)

●混血の島の娘やフリージア=葱男
○十△香、茶=4点
(十:季語との取り合わせが句を引き立てている。 茶:南国の花との取り合せの素朴さが、そのまま娘の気質のように。)

●瀬戸内の島点々と鳥帰る=白馬
△十、ま、智、修=4点
(十:島影をぬつて飛ぶ景が浮かびます。 ま:瀬戸内の美しい島の景と鳥が浮かびます、島というと瀬戸内ですね。 修:穏やかでゆったりした光景。 智:一つ一つの島に別れを告げて行くのですね。)

●初桜母の大島纏いけり=裕
◎香△紅=4点
(香:初桜で、大島紬の格調の高さを感じます。 紅:お母さまもきっと大島を着て、お花見に行かれたのでしょうね。)

●本家より分家の気楽シデコブシ=遊歩
○智、茶=4点
(智:上五中七笑ってしまいます。シデコブシとの取り合わせが良いかは分かりませんが、なんとなく納得。 茶:「シデコブシ」とカタカナにした点がよいと思いました。)

●五十路なほ巡るペダルや島四国=茶輪子
△清、ま、葱=3点
(清一:元気な詠者高校生気分での四国自転車巡礼。 ま:素晴らしい!四国を周られるとは。なほ、は入れずに作られてもよかったかも。。 葱:楽しんでますねえ〜〜^^;)

●いつせいに空へ翔び立つ白辛夷=葱男
○喋△メ=3点

●うりずんの星影親し恋の島=ぼくる
○清△智=3点
(清一:沖縄の春、恋の島良いですね。 智:甘酸っぱいですね。)

●風吹けば花びら笑ふ辛夷かな=雪絵
△清、子、始=3点
(清一:確かに笑っている様な気がする。)

●辛夷咲く公園ベンチにて孤食=資料官
△ラ、久、紅=3点
(ラ:現代風俗を活写。 紅:まさに今を詠んでおられます。)

●三姉妹嫁ぎし家や辛夷咲く=やんま
○白△朱=3点
(白:残ったご夫妻どうぞお健やかに。 朱:三姉妹の白い婚礼の綿帽子と白い辛夷がリンクしてますね。)

●つらなれる島は空つぽ桃の花=朱河
○ス△雪=3点

●訪ふ人の無き城山や花辛夷=ぼくる
◎ま=3点
(ま:寂しいお城の風景に凛と立っている辛夷が鮮やかで印象的です。)

●花こぶし新幹線の徐行区間=資料官
○ラ△喋=3点
(ラ:「徐行区間」がとてもリアル。)

●落花浴び孤島にひとりゐる心地=ラスカル
○朱△し=3点
(朱:落花を浴びる心地…こういう気持ちになりますね。 し:落花を独り占めしている心地かな〜と思いました。)

●若夏の花々まぶし島の宿=ぼくる
△や、始、喋=3点
(や:今日の命をかく輝かせむ。)

●青空に染まらぬ真白辛夷咲く=智雪
○メ=2点

●下校時の歓声辛夷の乱れ咲く=香久夜
○修=2点
(修:子どもたちの比喩のような辛夷。) ●決闘の跡なき春の巌流島=雪絵
○遊=2点
(遊:一日も早く地球全体がそうなりますように)

●辛夷の小指散り敷く道の愁ひかな=入鈴
○始=2点

●辛夷満開空青々と深々と=秀子
○砂=2点

●島宇宙に菫咲く星あると云ふ=葱男
○ス=2点

●春潮や聖火ゆるりと福島を=紅椿
△十、秋=2点
(十:時事俳句だが、前書がなくともずっと記憶に残る景。)

●賑やかに空の一角花辛夷=智雪
○修=2点
(修:空の辛夷がよく見えます。)

●薪束を背負ふ彫像花辛夷=ラスカル
○資=2点
(資:二宮尊徳像でしょうか。学校は桜が定番と思うが、辛夷の花も何か合っている。)

●朝鳥の啄む甘き辛夷かな=しゃが
△久=1点

●あの日から十一回目の辛夷咲く=資料官
△十=1点
(十:身内の11回忌? 人それぞれにある亡き人への思い。 白髪鴨さんは8回目ですね。)

●街灯で薄化粧する辛夷かな=喋九厘
△メ=1点

●口縄の島として在り脱皮する=入鈴
△ス=1点

●辛夷咲きペースはスロー周回路=メゴチ
△や=1点
(や:マイペースにて心身爽やか。)

●散る辛夷鴉くはへて去りにけり=修一
△秋=1点
((秋:何のため?蜜を吸う?巣に使う?本当にそんなことってあるんですね?意外性に加え白と黒の対比も面白いと感じました。)

●残りたるテイッシュの如き辛夷かな=修一
△十=1点
(十:類想句はあるかも知れないが、比喩が巧み。)

●花辛夷散れば余白の空なりけり=十志夫
△清=1点
(清一:辛夷の花は開花が短い散った後の余白の空の措辞が良い。)

●飛花落花島めぐる船接岸す=秋波
△や=1点
(や:非日常の一歩踏み出す。)

●故郷の島の陽炎舟揺るる=メゴチ
△香=1点

●故郷の島の球春全国区=メゴチ
△砂=1点


B部門入選作〈back number〉

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