*B部門入選作発表*


兼題『季語:冴返る』『漢字:吉』=全84投句(入選句)

【特選】

一席
●小吉の人生も善し土筆摘む=朱河


◎白、久、資○ま、秀、ラ、紅、智△砂、清、香、ぼ=23点
(白:それで良いのだ。 資:当初の目的とは異なり土筆を摘んで過ごすひと時。そんな人生も良かろう。 ま:小吉もすばらしいと思います。よい人生を歩んでこられたのですね。季語が決まっています。 秀:季語が気持ちよくついてますね。 紅:小吉なら御の字でしょう。季語がとても好きです。 智:ほのぼのと生を肯定している。 ラ:「土筆摘む」で、ぴたりと決まりました。 清一:小吉でも吉は吉ゆったり生きて行きましょう。 ぼ:「も」がよいかどうか議論あるところですが、共感。)


二席
●消しゴムの消せぬ筆圧冴返る=十志夫


○遊、始、資、メ、水△や、清、久、ラ=14点
(遊:人柄がみえるようです。 資:隠すことができない内容。 や:消すべきでなかったのかも。 清一:余程の筆圧なのだろう。 水:なんだかなぁという感じ。よく分かる。 ラ:かなり強い筆圧ですね。とてもリアル。)


三席
●剣道の深き座礼や冴返る=修一


◎入、裕○や、葱、朱=12点
(入り:ぴったり。 裕:凛とした空気を感じます。 や:命を預けるにはまず礼から。 葱:凛と張り詰める空気。 朱:道場の床の冷気や緊張感ある礼節の場面と季語が合致していると思いました。)


【入選】

●影もまた猫背となりて冴返る=やんま
◎砂、メ○清△十、白、し、喋=11点
(清一:影も猫背になっている小さな驚き。 十:俳諧味あり。 白:何だか元気なさそう。 し:寒そうな猫背ですね。)

●オペ室に流るるピアノ冴返る=雪絵
○修、香、朱△十、秀、入、ス=10点
(修:おそろしや。看護師も先生も妙にやさしかったっけ。 香:ピアノの音が流れてたら、落ち着くだろうな。 朱:手術中にクラシックを流すと言うのも本当にあるのでしょうか…オペ室の冷たさとピアノの柔らかい音色がまさに冴返る場面だと思いました。 十:手術を受ける身にとっては、いいのか悪いのか(笑) 秀:実景?そうじゃないような。演劇の舞台みたい。惹かれます。 入り:モーツァルトでしょうか、私はそうでした。)

●冴返る脳を輪切りにする装置=葱男
◎始○十△白、秀、水、香=9点
(十:「輪切りにする」と言い切った点がいい。リアリティのある一句。 白:CT。何か寒い。 秀:やや類想的ですが、器械に支配されてるみたいで、怖いですね。 水:なるべくなら中にはいりたくない。 香:姉がMRI 受けたばかり。誰でも何か見つかりそうです。)

●冴返る目線ふと合ふ鬼瓦=雪絵
◎喋○メ△子、入、智、資=9点
(入り:魔除けでもありますから、その感覚納得です。 資:鬼瓦と目が合うとは!)

●避雷針の刺さる青空冴返る=秀子
◎水○喋△十、砂、秋、ス=9点
(水:視覚的な鋭さ。 十:景鮮明。 (秋:「刺さる」がいい。景がよく見えます。)

●来訪なき老人ホーム冴返る=清一
◎修○久、裕△香、ぼ=9点
(修:いい介護ができるよう、三ツ星老人ホームになれるように考えたいです。 裕:コロナ禍でもそうでなくても寒々としてます香:香:今は、施設も病院も、面会ができせん。一気に認知症などがひどくなるのては?と思われます。 ぼ:いかにも。現代版楢山節考。)

●みちのくの茂吉の歌碑や雪解川=ラスカル
◎子、清○入=8点
(清一:山形県出身の斎藤茂吉、故郷の歌碑の近くに雪解川が流れる景の佳句。 入り:茂吉という名は、改めて豊かな意味だと目から鱗が落ちます。)

●吉祥院初音賜る宮参り=清一
◎紅△資、朱、裕、智=7点
(紅:赤ちゃんの明るい未来が見えてくるようです。 資:初音のプレゼント、良いお宮参りですね。 朱:少し綺麗すぎる句かとは思いましたがおめでたい吟行句のようで頂きました。 裕:いい光景だけど、ちょっと一杯言い過ぎかも。)

●吉報はまだかスマホに春の雪=香久夜
○砂△清、ま、葱、紅、秋=7点
(清一:吉報が来そうな春の雪でも来ない苛立ち。 ま:臨場感があり引き込まれました、スマホに春の雪、がとても良いです。 葱:「春の雪」が心を鎮めてくれるようです。 紅:合格発表も様変わりしましたね。 秋:合格通知を待ち侘びる心情がよく伝わります。)

●薄氷を踏みて占ふ吉と凶=水音
◎朱○紅△し=6点
(朱:小さい頃からこういう事を無意識にするのは私だけかな、薄氷だから尚一層緊張感を持って一歩踏むのでしょうね。 紅:こういう伝統行事があるのでしょうか?なんか好きです。 し:薄氷なのであまり良い結果でないような。。。)

●吉弥結びにしどけなき春袷=智雪
○し、秋、ぼ=6点
(し:とても色っぽそうな雰囲気ですね〜。 秋:少し着崩した感じが何とも色っぽく。着物を着慣れた人間でないと出来ないワザです。そうでないと本当にただだらしないだけになってしまう。 ぼ:吉弥結びのお手柄。)

●冴返るイやな親父になってきた=遊歩
◎ぼ○ま△秀=6点
(ぼ:そうかもねえ。反省します。 ま:つらいけど、早く気付かれて良かった。 秀:自分のことを突き放して表現できること。それが、俳句ですよね。)

●魚屋の売るクリオネの冴返る=まさこ
◎葱○秋△紅=6点
(葱:びっくりするなあ〜、まさか食用ではないでしょうね?? 秋:クリオネが売られているとは!流氷の天使には季語の凛とした冷気がよく似合っていると思います。 紅:クリオネが魚屋さんで売られているなんて!食べるのでしょうか?)

●春宵や吉祥天に妻の顔=紅椿
○や、白△ラ、入=6点
(や:母の顔ではなく妻の顔です、念のため。 白:愛妻家の一句。 ラ:お惚気俳句、大好きです! 入り:ごちそうさま。)

●大吉の似合ふ一枝や春の昼=紅椿
○砂、入△遊、十=6点
(入り:おめでたい限りのことが、品よく並んで一枝が効いています。 遊:幸せな気分になりました。 十:どんな枝かと興味がわく。季語がやや動くような気がする。)

●恙なく御座す父母寒戻る=裕
○資、香△や、修=6点
(資:両親の息災を再認識。身の引き締まる思いが伝わって来る。 香:つつがなく、なんてしばらく使っていない言葉でした! お元気に。 や:今もどこかで甘えているが現実に見る父母の老い。 修:もう少しすれば花も咲く。)

●凍返る海を隔てし防潮堤=葱男
○十△白、入、水=5点
(十:今年で10年目。堤の向うに多くの人が眠っているかと思うと切ない。 白:津波よ、超えないでくれ。 入り:東北太平洋岸もそうですが、茨城県も。 水:悲しい光景)

●うっせぇわおらぶ歌い手凍返る=スライトリ・マッド
○葱、し△ぼ=5点
(葱:私は「凍て返る」というより、めちゃスッキリしました。ここから「ピアニストけいちゃん」へと繋がり、こちらのYOUTUBEにも冴え返りました! すごいですね、今の若い子、神がかってる! し:この歌は強烈ですね!個性的で将来が楽しみな方ですね。 ぼ:ははは、見ました、聴きました。)

●御神籤を引く手吉なり春の夢=久郎兎
◎香○子=5点
(香:結果を見る前にその手で吉とわかる?幸せそうな手なんでしょう。)

●根菜のスープの不安寒戻る=入鈴
◎十○久=5点
(十:不条理な一句。地下にありし物の不安を温と寒で。)

●冴返る片目の猫の近寄り来=朱河 
◎秋○清=5点
(秋:寒さの中では野良(たぶん)も人恋しくなるのでしょう。中七がそこはかとなく寂しさややるせなさを醸して妙。 清一:恋猫の争いに巻き込まれ片目となったのか、哀れ。)

●冴返るトランペットのクレッシェンド=しゃが
◎や△葱、秋=5点
(や:魂の高まりも佳境なり。 葱:どこまでも高音が伸びてゆく。 秋:管楽器はよく澄んだ冷気の中でこそよく響く。)

●遠富士の稜線確と冴返る=ぼくる
○白△メ、し、朱=5点
(白:「確と」が良いですね。 し:冴返る日にくっきり見える富士山綺麗でしょうね! 朱:遠くに仰ぐ富士山の青々しい姿がしっかり見えるのでしょうね。)

●ながながとdelete押して冴返る=ラスカル
◎遊△資、修=5点
(遊:共感です。強制終了してしまいたいことばかりw 資:たまにパソコンをいじるとこういうことが起こる。 修:なにを消しているのか?l季語が不穏を決定づける。)

●ホチキスの針ぬきし痕冴返る=十志夫
◎ラ○水=5点
(ラ:細やかな着眼点に脱帽! 水:小さなとことに目をとめて。冴返るの一面。)

●吉兆に似て空に浮く牡丹雪=秀子
○ス△始、メ=4点

●吉方のそらに跳ねたる春満月=しゃが
○ラ△メ、朱=4点
(ラ:春満月が跳ねるという発想が楽しい。 朱:跳ねたる、が良い視点ですね。)

●冴返る鬼門封じの猿ケ辻=清一
○裕△子、智=4点
(裕:京都御所の鬼門。陰陽師を感じました。)

●冴えかへるぐつと近づく遠き富士=資料官
◎秀△遊=4点
(秀:遠い富士山がぐっと近づいてくるとは、まさしく俳句的表現。 遊:そういうことを思うことがありますね、空気のせいですか?)

●冴返る忘れた頃に来る余震=資料官
◎ま△紅=4点
(ま:冴返る、がぴったりと収まるお句です。 紅:10年も経ってあんな大きな余震が来るなんて・・。)

●妄想は夫の真実冴え返る=紅椿
◎智△砂=4点
(智:父上の妄想を真実と捉える優しさ。冴返るが悲しい‥。)

●淡雪や吉祥天の笑む寺へ=ぼくる
○子△紅=3点
(紅:季語とよく合っています。)

●息を呑む切場語りや冴返る=しゃが
○智△修=3点
(智:切場語りと冴返るが臨場感たっぷり。 修:固まってしまって動けないんだ。)

●冴返る位牌あまたと棲む女=秀子
○ス△葱=3点
(葱:ちょっと怖い!)

●冴返る画布を切り裂くスクレバー=葱男
◎し=3点
(し:ルーチョ・フォンタナを思いました。画布を切り裂くというのはちょっと勇気要りますよね。冴返るが効いていると思います。)

●妻が吉夫が小吉春うらら=やんま
○秀△十=3点
(秀:「小吉の人生も善し土筆摘む」と比べて、こちらはお茶目な感じ。 資:両親の息災を再認識。身の引き締まる思いが伝わって来る。 十:これくらいが身分相応でよろしいような?)

●半額の惣菜シール冴返る=五六二三斎
○ぼ△久=3点
(ぼ:売れ残りか。ペーソスあり。)

●人を食う吉四六ばなし百千鳥=秋波
○始△裕=3点
(裕:面白い。)

●立春大吉水位は我れを崩しけり=十志夫
◎ス=3点

●吉日に縁が結ばれ春一番=やんま
○喋=2点

●冴返る片っ端から物忘れ=遊歩
△ま、久=2点
(ま:実感がこもっています。先が怖いですよね。)

●冴えかえる横目で過ぎる赤提灯=白馬
△紅、水=2点
(紅:このご時世、横目で過ぎるしかないですね。 水:このご時世。)

●大吉を財布にしまふ春めく日=雪絵
△入、喋=2点
(入り:財布にしまうところが、目に見えるようです。大共感です。)

●タロジロリキの見し嗅ぎしもの凍返る=スライトリ・マッド
○修=2点
(修:いろいろ考えさせられます。そう凍て返る。)

●ビートルズを知らない世代冴返る=水音
△清、ま=2点
(清一:ビートルズの知らない世代がいるのか、信じられない。 ま:いや〜あのビートルズを!時が経ちましたね。)

●野梅かと思へばこれは吉郎兵衛=修一
○遊=2点
(遊:恵那に西行の梅露庵がありいろんな梅を楽しめます)

●うつせえと歌ふテレビや冴返る=メゴチ
△葱=1点
(葱:Adoちゃんのこの歌を教えてもらえただけで△。)

●吉報は春一番に届きをり=メゴチ
△ラ=1点
(ラ:「一番」ですね!)

●冴返る石塔に反る喜撰橋=智雪
△裕=1点
(裕:寒の戻った朝の喜撰橋でしょうか。)

●冴返る千切りこんにやくひりひりと=まさこ
△喋=1点

●冴返る月の満ち欠けあと幾度=喋九厘
△入=1点
(入り:この冬は同じ思いで月を見てる人は多いと思います。)

●酒の友は「津軽海峡」冴返る=ぼくる
△葱=1点
(葱:青函連絡船の上なら最高ですね!)

●佐保姫に吉祥天女舞ひ踊り=遊歩
△始=1点

●月朧お嬢吉三の艶姿=白馬
△始=1点

●天窓を過ぎるドローン冴返る=ラスカル
△葱=1点
(葱:!!!)

●入籍の今日の吉日蝶白々=まさこ
△入=1点
(入り:蝶白々に新婦の装いが目に見えるようです。)

●春うららざこば南光吉弥かな=修一
△ス=1点

●返信のしそびれしまま冴返る=秋波
△や=1点
(や: 心の棘がちくちく痛む。)

●満月の五重の塔や冴返る=久郎兎
△子=1点

●吉木から阿志岐にかけて土筆摘み=喋九厘
△遊=1点
(遊:もしかして原さんかなぁ…)


B部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号 89号 90号 91号 92号 93号 94号 95号 96号 97号 98号 99号 100号 101号 102号 103号 104号 105号 106号 107号 108号 109号 110号 111号 112号 113号 114号 115号 116号 117号 118号 119号 120号 121号 122号 123号 124号 125号 126号 127号 128号 129号 130号 131号 132号 133号 134号 135号 136号 137号 138号 139号 140号 141号 142号 143号 144号 145号 146号 147号 148号 149号 150号 151号 152号 153号 154号 155号 156号 157号 158号 159号 160号 161号 162号 163号 164号 165号 166号 167号 168号 169号 170号 171号 172号 173号 174号 175号 176号 177号 178号 179号 180号 181号 182号 183号 184号 185号 186号 187号 188号 189号 190号 191号 192号 193号 194号