*無法投区/神在月

〜朝寒や巴水の空の明けてゆく〜

父の命日=五六二三斎

本日、9月7日は、父の祥月命日である。お花を買いに近くのスーパーへ。あまり、花がないので、200円の花を二つ買った。家人から、もっと豪華にすべきと云われた。

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父は、2001年に亡くなった。あと10日で93歳になるところであった。
原因は、脳卒中で入院して、肺炎になって死亡した。
昨年、13回忌は済ませたが、今年でまる13年が経過した。

父は、15歳の時に、父母を結核で無くし、長男として、養祖母に育てられた。医者の父を無くしたことで、跡継ぎになる必要性が無くなり、教育学を専攻するという自由が出来た。

父の卒業論文は、春秋社という出版社から、出版された。

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その父だが、心優しいことは、ハイジャン男も見習いたい位であった。

一つエピソードを話そう。大学を卒業した昭和6年は、「大学は出たけれど、、。」という不況の真っ只中。恩師の伝で、佐賀県立鹿島中学の英語教師として、職を得た。妹たちは、まだ女学校に通っていたし、何とか面倒を見らなくてはならなかった。

その鹿島中学で、陸軍士官学校の試験に合格しながら、体力試験で不合格になったFさん。Fさんの家は、10人兄弟、その長男が、学びながら、支給される奨学金を当てにしていても不思議ではない。

がっかりしているFさんに、父は、
「来年、京城医専を受けてみないか?あそこは奨学金ももらえる。君は、英語が弱いので、僕が教えよう。家庭教師をしてやる。」
と持ち掛け、家に下宿させて、特訓が始まった。その成果が上がってか、見事、Fさんは、京城医専に合格、戦時中は、軍医として活躍された。

戦後、地元の嬉野で開業されたFさん、折あるごとに、父の所を訪れて下さっていた。父が金銭面で困ったことがあれば、お金を貸して下さったり、ハイジャン男たちを夏休みには、嬉野に招待下さり、家族同様の付き合いだった。

父は、無私の精神を持つ人間であった。人が喜ぶのが好き。人が困っていたら、助け舟を出す。そんな父だった。

ハイジャン男も父と似ているのが、人を奢るのが好きなこと。決して、恩着せがましいところがない。人が喜ぶのが好きなんだろう。

そんな父と似ているのが、金銭感覚欠如!奢りが好きな人間の共通の欠陥だろう。

「奢り好き父の命日秋の雲」

ハイジャン男

ハイジャン男のブログ


*楽しかった初吟行・初句会の月遅れ報告=資料官

●新涼や啄木歌碑に鳥の影
●待つ宵やみやこへ帰る夜行バス
●銀ブラやジョンレノンの秋日濃し
●秋の暮ルパンの先は行きどまり

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秋湿り頭上を通る新幹線
吟行の集合時間は秋の雨

 丘ふみ游俳倶楽部121号の報告のとおり,葱部長東京滞在最後の9月7日(日)に銀座吟行・句会が開催され,生まれて初めて参加しました。本来でしたら121号に書くべきでしたが時間的な余裕もなくひと月遅れですみません。今までなかなか句会参加の機会も意欲もなくて,ただただ毎月丘ふみ投句を続けるだけでしたが,参加してみて何から何まで目から鱗がぼろぼろ,場所もなじみの銀座だったこともあり,楽しく過ごすことができました。 さてさて何を持っていけば良いのか,参考図書をぱらぱら見て歳時記は角川文庫の秋と新年,句帳は縦書きノート(ジャポニカはデカ過ぎてやめた),辞書は重たいからパス(電子手帳は待っていない),筆記用具は多めに,一応カメラはリュックに忍ばせて,雨の予報だけど大きな傘は持って行きたくない。あれこれ考えたが結局大荷物を背負って出発しました。
集合場所は有楽町イトシア前。野菜を担いだ葱夫妻と私だけが大荷物で吟行に慣れた皆さん手軽な姿で参加されていました。会社は有楽町だし,銀座はよく出かける場所だったのですが,この日案内していただいた場所は初めてのところばっかりで銀座にこんな由緒あるスポットがあることに感激しました。写真も撮りましたが縦書きの字を書きながら歩き回ることなんて初めて。
有楽町から銀座の南半分を歩いて新橋着。会場のカラオケへ。音は出さず画面は消して,歌声も聞こえないへんな集団。十志夫さんが周到な準備をしていただいたので句会はスムーズに進行,途中参加のぼくるさんも合流して選句には参加。ぎりぎりの17時まで披講が続いた。廊下に出ると窓の外には新橋駅。新幹線がすいすいと通過して行った。マイク持つだけではないカラオケの活用法を学びました。
懇親会には「街」の小久保さんめだかさんが句会帰りに参加。吟行開始してからも懇親会参加者が増えて,幹事さんはたびたび人数増加を店に電話していた。参加者が減ることはよくあるけど,当日になって増える宴会は珍しい。吟行や句会あとの宴会って楽しいのだろうな。あっという間の飲み放題2時間は過ぎ,皆さん各方面に戻っていかれました。気持は土曜の夜だったのですが,我に返ると日曜日。やれやれ明日は月曜ではないか。

* *  

(左) 銀座五丁目
ルパン(BarLupin)の看板その向こうにMELOSの看板

(右) 銀座六丁目
銀座にある啄木歌碑,その後ろに啄木鳥の姿
「京橋の滝山町の新聞社 灯ともる頃のいそがしさかな」

* * 

(左)NHKブラタモリにも登場した銀座の奇妙な路地
とある喫茶店の中に侵入してしまう

(右)奇妙な路地から奇妙な風景

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(左) 銀座八丁目
老舗画材店「月光荘」,創業大正6年
ここの喫茶でひと休み

(右) 銀座八丁目長崎センタービル1階
「銀ブラ」の語源となったカフェー「パリウスタ」Paulista
1978年ジョンレノン夫妻が3日連続で訪れたという 後日談,少し早起きした朝,有楽町線の銀座一丁目まで乗って吟行のルートを歩いてみる。まだ人通りは少なく露の所為か道路もしっとり。ルパンの看板も啄木歌碑もあの日と変わることなく銀座の街にただずんでいる。コリドー街を抜けて有楽町に向かえば出勤にはちょうど良い時間。晴海通りを越えると有楽町の駅からどっと人の波が押し寄せてきた。

●露けしやルパンの客の夢の跡

周到な準備をしていただいた十志夫さんをはじめ参加者の皆さん,大変楽しく過ごさせていいただき,また良い勉強にもなりましたこと,心から御礼を申し上げます。

参考図書

「句会で遊ぼう」 小高賢 幻冬舎
「いるか句会へようこそ!」 堀本裕樹 駿河台出版社
「俳句、はじめました」 岸本葉子 角川学芸出版
「俳句、はじめました 吟行修業の巻」 岸本葉子 KADOKAWA

*

カラオケの外は汽笛一声の新橋
新橋駅を通過する新幹線


■風信

特報!

おじさんふたりと若い女の子、不思議な三角関係が密造するお洒落な句文集セレネッラが9月20日付で創刊されました。ネットプリントによる掟破りの横書きの季刊誌です。
金子敦、中山奈々、中島葱男の三人による俳句と短文と、その他もろもろのカラーA4版、紙一枚の卓上の紙芝居であります。

今月の「俳句界」10月号(ちなみに大森理恵さんは「この秋、行きたい全国の俳枕」の執筆陣で「京都・鞍馬」を担当されています)で有馬朗人選の「秀逸」に大きな文字で並びました。

* 


【編集後記】

ネットプリントの句文集「セレネッラ」を創刊してからの日々は、私が想像していたよりもはるかに想定外のビッグバン現象が次々に起こった。
一番大きな出来事は大森理恵さんに「丘ふみ」の選をしていただいたことである。

何も知らないというのは恐ろしい、私は理恵さんがどんな人でどんな俳句的役割を社会の中で実践しているのかを全く知らないままに、ただ、ラスカルさんのお友達だという人からFACEBOOK上で「友達申請」をいただいたのでありがたくそれを「承認」しただけだと思っていた。
ラスカルさんの記事で彼女の名前だけは知っていた。
ラスカルさんや彼の知り合いの俳人たちが集まって「大森理恵美貌維持向上委員会」なる会が発足された、という記事がFACEBOOKの「ニュースフィールド」の載せられていたからだ。
そのご本人から「友達リクエスト」が舞い込んできたのだ。私は二つ返事でそれを承認した。

その後、彼女とメッセージであれやこれや話すうちに、彼女の住んでいるところ(京都)が歩いても行けるぐらいの近距離だったことや、年齢もほとんど同世代だったので、言わば「同級生」的な気分を抱えたまま、話の流れから気軽に「丘ふみ」への参加を打診してみたのだった。

ところがこれが大変な人であることがだんだんに分かってきた。
とてもじゃないが、気軽に「丘ふみ」に誘えるような御仁ではない、ということが分かってきた。
私は無知ゆえの非礼を詫び、そんな馬鹿げた提案を取り下げようとしたのだが、彼女は「あなたは私が本当の姉と弟のように思っている金子敦さんの大切な友達なのだから、断ることはできない。」と言って、結局、この無理は通ってしまったのである。

その後私は、彼女と息子さん(大森健司氏)が京都を拠点にして活動している俳句結社「森」のこと、ネット上に開校している「俳句大学」なるものに大きな興味をもって彼らの活動に興味を持つことになる。
私の「俳句時間」は今、大きく変動しはじめたのである。

このさき、どんな「俳句人生」が始まるのか想像もできない。
ただ、期せずして天啓のように訪れた新しい人たちとの出会いの中で、大森親子の「俳句大学」に集う若者たちと一緒に、これからの余生をもう少し真摯に、俳句に向かい合おうと思うのである。

 (文責 葱男)


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