*無法投区/

〜ひうひうとうねる淑気や龍が来た〜

*

*龍10選

今年の干支は「壬辰(みずのえたつ)」、我々昭和27年生まれの世代にとっては還暦の年に当たります。
道教の考え方では「極陰は変じて陽となる」と云われています。
果たして私達の龍は吉祥の瑞風を吹かせてくれるでしょうか?

今年最初の「無法投区」の企画はおめでたく、お年賀に戴いた数々の龍の中から、御利益のありそうな面構えをした面白い龍を十頭選んでみなさまにもお届けいたします。(「龍」の数えかたがよく分りませんが・・・) 2012年正月、いっぱつめの縁起物です。

*1  *

1:「百鳥」大阪支部の代表、2010年「俳人協会新人賞」、森賀まりさんからの年賀状。ご存知、田中裕明さんの奥様でもあります。
2:「百鳥」同人で、書道の先生でもある谷上佳那さんから。

*3  *

3:2011年「角川俳句賞」の望月周さんと、奥様のかつこちゃんからの年賀状。周さんは「百鳥」の編集長、かつこちゃんは「つぶやく堂」のお仲間です。
4:フェルトブランド「ZUS」の加藤ますみさんの年賀状、「龍」は彼女の 作品です。

***

5:「俳壇賞」金子敦氏(ラスカルさん)の年賀状、今年は第四句集「乗船券」が出版されます。
6:「百鳥」同人、山本あかねさんの年賀状、彼女の句集「大手門」の表紙の猫は葱男が描きました。
7:友人の森田圭美ちゃんのお年賀、パソコンの先生、詩の朗読、結婚式の司会と、マルチな才能の持ち主です。

***10 

8:書道の師匠、馬淵幽明氏の賀状。象形文字の達人である先生の1枚1枚手書きの「龍」。
9:役者「林英世」さんの賀状、彼女は現在放映中のNHKの朝の連続ドラマ「カーネーション」で岸和田のことば指導を担当されています。
10:きもの作家「中井一省」氏の年賀状、我が家の毎年恒例の「年賀状大賞」の常連です。


*うつむいて赤プリ通り黄落期=資料官

●黄落のひかり赤プリ通り行く
●赤プリの通りやうやく黄落期
●銀杏落葉集めて仕事始めかな
●ひかりさすまだ冬紅葉うつくしき

東京メトロの麹町駅の階段を上り赤プリ通りの歩道を会社に向かう。昨年3月に平河町に引っ越してきてからの通勤経路である。通りの両側には銀杏並木が続くが,ここの銀杏の黄葉はおそく,ようやく12月下旬になって散り始めた。銀杏落葉に滑らぬように歩いたのはクリスマスの頃だろうか。近年銀杏の黄葉日が遅くなっているそうで,50年間で約11日も黄葉が遅くなっているという。これも地球温暖化の影響を身近に見る一例であろう。1月4日の仕事始めの日,この通りで遭遇したのはそれぞれのビルの入り口で銀杏落葉を袋づめする風景であった。

*

2011年12月20日
赤プリ通りに銀杏並木
12月後半ようやく黄落期

12月初旬,銀杏の名所明治神宮外苑の銀杏並木を見に出かけたが,予想に反してまだ緑が多かったし,いつもの年の銀杏に比べて木がやせ細ってきたのではないかと心配した。ここも同様に黄葉日が例年に比べて約1週間ほど遅かったようだが,やせて見えたのは4年に一度の剪定をおこなったことによるもの。納得。  

*  *

2011年12月4日
今年の神宮外苑の銀杏並木 手前はまだ緑が多い
下の写真と比べるとやせ細って見える  

*  *

2008年11月30日(3年前)
三年前の神宮外苑銀杏並木
この頃はまだふっくらと銀杏のボリューム感を感じた

*

2011年12月4日
ふっくら丸々新宿御苑の銀杏


かごんま日記:“SEVEN DAFFODILS” = スライトリ・マッド

2012年1月1日(日)
*そんなこと関知はせぬと水仙花

I do not have a mansion, and I haven't any land,
Not even one dollar to crinkle in my hand.
But I can show you morning on a thousand hills,
And kiss you and give you seven daffodils.

I do not have a fortune to buy you pretty things,
But I can weave you moonbeams for necklaces and rings,
And I can show you morning on a thousand hills,
And kiss you and give you seven daffodils.

Seven golden daffodils, all shining in the sun,
They light the way of evening, when our day is done.
And I can give you music, and a crust of bread,
A pillow of piney boughs to rest your head.

今日、宮古に住む親友、菊池さんからの賀状が届いた。「新しい年のご健勝を心よりお祈り申し上げます。昨年の大津波は自宅の目の前まで押し寄せました。海に近かった実家は全壊。生まれ育った集落は跡形なく消えてしまいました。そして、知人多数、従妹も犠牲に、「たらふく」ラーメン店も被災しましたが、今は再開しています。今年は穏やかな年でありますように」。たらふくさんは、私が岩手に住んでいたころ、宮古を訪れたとき菊池さんの娘さん百ちゃんと一緒に食べに行ったお店。当時高校生だった彼女も筑波大からNHKへ入り職場結婚で一昨年一児の母に。福島で勤務中だ。
 お正月とは言え、高3の娘の学校は、年末年始返上の連日模試。いつもと同じように5時半に起き、弁当作り。今年は、まだ暗い朝の6時にお雑煮を食べた。午前中、お天気も良く、冬休みで東京から帰省中の息子と犬のさくらと散歩に。南国鹿児島でも朝晩は結構冷える。耳あてのついた帽子をかぶらないと凍える。途中、無人販売で水仙が一束残っていた。「買いたいけどお金を持って来なかった」と息子に話したら、「持ってるよ」と。百円玉を借りる。漂ってくる水仙の香りを楽しみながら1時間半くらい散歩して帰る。そのあと初売りで開いているイオンに入っているトンカツ屋で昼食。暑くなった息子が着ていたアディダスのウィンドブレーカーを脱いで、私が預かった。ここまではよかった。しばらくして、寒くなってきて上着を着た息子が青い顔をして「ポケットに入れていたはずのパスケースがない」と。ガーン!!3000円くらいのお金と運転免許証が入っていたという。さあ大変!大事なものだからジッパーを閉めていたと言うが、多分水仙を買ったときポケットを開けてなおしてそのままになっていたのか・・預けた時にはあったと言うが、どこでなくなったのかわからない。私も免許証が入っていると聞いてなく、大きなバッグも持ってなかったので腕にかけていた。すぐにイオンに遺失届を出し、朝の散歩コースも含め、歩いたところをもう一度歩き、探した。霧島警察署にも届を出しに行ったが出てこない。免許証の再交付をこちらでしようとしたが、住民票のある地でないと、出来ないということが判明。鹿児島では、最寄りの警察署でも、再交付を受け付けてくれるのだが、東京の場合、新宿、神田、府中、鮫州、江東の5か所の運転免許センターでしか、やっていないとのこと。それも平日。「お宅の場合は一番近いのは府中ですね」と言われる。息子は普段250ccのバイクで通学しており、休み中預けている東京のヤマハのバイクショップのおじさんにも訳を話さねば。「申し訳ないが、帰ったらすぐに試験が始まるので、取りに行けなくなった、もう少し預かってもらえますか」等々。悪いことをしてしまった。私が、もう少し注意深くしていれば・・しかし、後悔先に立たずだ。あちこちに迷惑をかける破目に。正月早々ついていない。友人に話したら、もう悪いことは起きないよと言ってくれたが。でも、東日本の被災者の苦労を考えたら何のこれしきだ。水仙を数えたら7本あった。花は44もついている。7本の水仙は、何が起きようと、美しく台所で咲いている。

 *“SEVEN DAFFODILS” by THE BROTHERS FOUR (1957) より引用


■編集後記

「易経」に陰陽魚太極図というものがあります、これです。

*

ウィキペディアによると
『この形をした太極図は、陰陽太極図、太陰大極図ともいい、太極のなかに陰陽が生じた様子が描かれている。この図は古代中国において流行して道教のシンボルともなり、今日では世界各地に広まった。韓国の国旗にもなっている。白黒の勾玉を組み合わせたような意匠となっており、中国ではこれを魚の形に見立て、陰陽魚と呼んでいる。黒色は陰を表し右側で下降する気を意味し、白色は陽を表し左側で上昇する気を意味する。魚尾から魚頭に向かって領域が広がっていくのは、それぞれの気が生まれ、徐々に盛んになっていく様子を表し、やがて陰は陽を飲み込もうとし、陽は陰を飲み込もうとする。陰が極まれば、陽に変じ、陽が極まれば陰に変ず。陰の中央にある魚眼のような白色の点は陰中の陽を示し、いくら陰が強くなっても陰の中に陽があり、後に陽に転じることを表す。陽の中央の点は同じように陽中の陰を示し、いくら陽が強くなっても陽の中に陰があり、後に陰に転じる。太極図は、これを永遠に繰り返すことを表している。』

ということになっています。

私たちは極陽で此の世に生まれて「生老病死」、徐々に「陰=死」に向かって歩いているようなものですが、「陰中の陽」である還暦を迎えました。
いずれ訪れる「極陰」は「陽」に変じるみたいなので、それまで暫くの間、御陽気に参りましょう。

「百鳥」のお仲間の甲斐よしあきさんの句にこんなのがありました。

●百歳まであと百日の日向ぼこ

 (文責 葱男)


■消息

水音
●傾ぎたる地軸正しき初日の出  山下水音
『俳句界』1月号/「兼題/初」【佳作】(大高霧、名和未知男 選)
●秋扇北斎の鷹とぢこめて  山下水音
『俳句界』1月号/「雑詠」【佳作】(有馬朗人 選)
葱男
●鯛焼の余計なものに尾の餡子  中島葱男
『俳句界』1月号/「めーる一行詩」【佳作】


■句友のページ
俳人・金子敦の小部屋俳句と主夫の間で♪<なを>の部屋空とぶ猫俳句魂俳句と写真で綴る日記「日々好日」nemurinn主義定年再出発*百歳からのブログ


■無法投区〈back number〉
創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号