*無法投区/五月雨月

〜腹当をして赤道をまたぐ象〜

*博多柳町市場の裏道にて=入鈴

梅雨晴や市場通りの募金箱   入鈴

裏道にひとなつこさや鱧運ぶ   入鈴

 先日帰博した折、玄海灘から福岡空港さ進入しやんすた。まごどに柔和な海岸線で島々も眠っているやうでございやんす。数年前の震度六に揺れた、山野を忘れてしまいそうではんで。えがっだど涙がことしれず流れやんすた。

上記とは脈絡のない詩の引用をお許し下さい。

 天が裂け稲妻が走り声にならぬ声が響いた。
「そこ、地の板が舌打ちをし海が首を持ち上げる所はお前たち人間の住む地ではない。
何度も地に放り海に引きずり込み教えてきた。
だが事の理を知ろうとしない。
その頑迷は無知によるものでなく、
己の無知を知るのを拒む非知の業としか思えない。
無知を装った非知で神を欺こうと企てるとは」

 *************

(中略をお許し下さい)

家も波にくれてやった。
船も波に呑まれるままにしてやった。
たかだか百年かけて手にいれたがらくただが
いいことを教えてくれた。
手をかけたからって所有物として登録しても
すぐ無くなるってことだ。
十万年に満たない前、俺達は家を持ちそこに閉じこもって死を待とうとはせず
船を持って獲った魚で家財道具を揃えようとは考えなかった。

今じゃどうしたことか。
もう役目が終わって骨に纏わるだけの肉すらも
神にまで渡すまいと焼いて煙りにする。

俺の肉はくれてやる。
まして元の所有者だと名乗るからにはその権利を尊重してやる。
だがその奥にあるものはやらない。
お前達の口には合わないものだ。それに
お前達の歯では切り離されず、飲み込もうとしても口に入るものじゃない。
それは人間だからだ。

     ユリイカ 6月号 掲載  南保俊雄  (お隣街区の友の良人さんです)




*九州一周のような台湾一周=資料官

●残照や南の国の新幹線
●北回帰線越へたちまち日焼けせり
●夏つばめ太呂閣断崖自由自在
●食事ごと緑の台湾ビール飲む
●パイナップル士林夜市の人の波
●夏帽子ふれ合う九_急な坂

連休に台湾を一周した。もちろん,台北から高雄(左榮)まで台湾新幹線(台湾高速鉄道=高鐵)に乗った。高雄からは東海岸を回って台北まで戻ったが,東海岸では在来線(台鐵)の客車の急行列車(_光号)に2回乗った。台湾は面積35,980 km2人口2300万人 (2010現在)と,おおよそ面積は九州(本島36,749 km2(7県計では42,190 km2))とほぼ同じ,人口は九州全域の人口1300万人の約2倍であって,気候は異なるもののなんとなく台湾一周が九州一周と重なるのである。
昨年秋の羽田空港の国際線開業により台北・松山空港とを結ぶ路線ができたのであるが,これを利用したので大変便利であった。松山空港は,市内の位置,ターミナルの様相が福岡の板付空港によく似ている。発着の際は街の上を通過するし(騒音問題等はありますが),空港の脇には低い山がある。中心部まで車で15分程度で到着する利便性もそっくりであった。

台湾の新幹線は平成19年1月に開業(台北からは3月に正式開業)したが,日本の新幹線技術を導入しており,車両が日本の700系の改良型である700T型であるので,感覚的には日本の新幹線に乗っているのと全く変わりが無い。座席は海側3列(ABC)山側2列(DE)と同じ,トイレも似ているがエアータオルが日本には無い。九州新幹線が博多−鹿児島中央間の299km(小倉までが346kmでほぼ同じか)を最速みずほが1時間19分,各駅停車のつばめが1時間54分で走っているのと比較すると,台北−高雄間345kmを台中のみ停車の最速が1時間30分,各駅停車が2時間で走っていて,よく似ているのである。ただ,台湾新幹線は首都台北と第二の都市高雄間の新幹線であり,編成は12両,一時間当たりの本数4本,最高時速300kmは九州新幹線を凌駕している。台北−高雄左榮は1340元(=4,000円)と,博多−鹿児島中央の二枚きっぷ自由席9,000円に比べてもかなり安い。
沿線,低い山を越えるトンネルはあるが太宗は平野を走り抜ける。台湾の大動脈であり街や家々がどぎれることは無く,気候が亜熱帯から熱帯であること意外はまあ博多−新八代間に似ているか。窓の外をきょろきょろ見回すうちあっという間に高雄左榮の車站(=駅)に滑り込んだ。



1:2011年5月4日
台北車站(=駅)停車中のT700型12連
台北は高鐵も台鐵も地下にプラットホーム(月台)があります
台北を出て次の板橋を過ぎるまでは地下を走る

2:2011年5月4日
高雄左榮車站に到着した新幹線
T700型12連



3:2011年5月5日
高雄車站を発車する西部幹線北行きの自強号
両端に電気機関車を連結したプッシュプルトレイン
機関車は南ア製,客車は韓国製だそうな

4:2011年5月5日
屏東線 南州車站にて客車の_光号同士の交換
R100型ディーゼル機関車
熱帯のムード一杯



5:2011年5月6日
花蓮車站停車中の東部幹線南行きDC自強号12連
日本製ディーゼルカー

6:2011年5月8日
台鐵 汐止車站を通過する花蓮行き自強号(太呂閣列車 Taroko Express)
日本製の振子電車TEMU1000型



7:2011年5月4日
高雄市 六合二路夜市
台湾人は夜市での夕食が定番

8:2011年5月7日
台北一の賑わい エネルギッシュな士林夜市の食堂街



9:2011年5月8日
台北のMRT(地下鉄=Mass Rapid Transit)台湾大衆捷運系統(捷運)
駅名も漢字でわかりやすい
初乗り20元(=60円)と安い
淡水線 士林車站にて

台北を福岡とすれば,途中台中は熊本,高雄は鹿児島,西部幹線は鹿児島本線,南廻回線で山を越えた東海岸の台東は宮崎,ここからの東部幹線はまさに日豊本線,太呂閣渓谷が高千穂峡,礁渓温泉は別府温泉,基隆は門司港のようなところだろうか。台湾の鉄道は日本の統治時代に大方は建設されていて,駅舎・鉄橋至るところにその面影が残っている。新幹線ができても,在来線(台鐵)はまだ自強号(特急)や_光号(急行)が走っていて,それが編成も長く本数も結構多い。そこが,新幹線開業後の在来線が各駅停車だけになったり,第三セクターに変わった日本とは違うのかもしれない。またゆっくり台湾の鉄道を堪能したいと思っているところ。


かごんま日記:“ I’M IN LOVE WITH MY CAR ” = スライトリ・マッド

2011年5月10日(火)
*夏来たり光合成のプリウスで

Oooh The machine of a dream, such a clean machine
With the pistons a pumpin', and the hubcaps all gleam
When I'm holding your wheel
All I hear is your gear
With my hand on your grease gun
Mmm it's like a disease son
I'm in love with my car, gotta feel for my automobile
Get a grip on my boy racer rollbar
Such a thrill when your radials squeal

Told my girl I'll have to forget her
Rather buy me a new carburettor
So she made tracks saying this is the end now
Cars don't talk back they're just four wheeled friends now

When I'm holding your wheel
All I hear is your gear
When I'm cruisin' in overdrive
Don't have to listen to no run of the mill talk jive

I'm in love with my car, gotta feel for my automobile
I'm in love with my car, string back gloves in my automolove

今日は、着物で「花かごしま2011」の日。着付け仲間の先生たちの鹿児島地区の組織である若竹会の行事。着物を着て出かけよう!なのだ。学苑長も含め10名で鹿児島市郊外の吉野公園を訪れた。吉野公園は初めてで、一度行ってみたいと思っていた場所。昨日の天気予報では、高確率の雨。内心おっくうになる。電話で「雨降っても本当にあるんですかね?」と尋ねたら、種子島のレイ子先生や出水のヒラ先生など遠方からの出席者もいるので、雨天決行とのこと。やれやれだ。タオルやら替えの下駄、大き目の傘も準備して。着物は雨に濡れても洗濯機でじゃぶじゃぶ洗えるポリエステルの薄物。帯は、車を運転するので崩れにくい半幅の「二段のしめ片ばさみ」の結びに。隼人の家を出るときすでに降り始め、姶良、蒲生あたりで土砂降りになった。出口の吉野インターに近づくと、あら不思議、雨が上がる。ラッキー!全国都市緑化フェアの一環で、第28回目の今年は鹿児島で。九州新幹線全線開業に合わせて3月から5月22日まで開催される。温帯から亜熱帯の植物約900種110万株以上の花と緑の博覧会。「これだけたくさんの花や木、終わったらどうなるんですか?」と聞いてみる。学校などに寄付するのだそうだ。鹿児島花博のマスコットは「ぐりぶー」。グリーン+豚?!川上町の枕屋さんが作ったというデザインらしい。頭に木が生えた緑色の豚なのだ。かのゆるキャラ「せんと君」に負けぬくらい、なんか変よ。しかし、まずは不細工なぐりぶーと一緒に全員で記念撮影。県立吉野公園は、鹿児島市の中心から北東に約8km、標高234mの台地にある。展望台に行ってみた。錦江湾を隔てて、眼前に雄大な桜島。真下には海沿いの国道10号線を走るマッチ箱のような車が見える。遠くには霧島連山や開聞岳も眺望できるそうだが、曇っていて見えなかった。30haのだだっ広い敷地をおしゃべりしながら歩く、歩く。雨に降られることなく、蒸し暑くもなく、涼しいくらいで気持ちいい。たくさんの花や緑を見た後は、楽しいランチタイム。おなか一杯になったと思ったら、「これ食べてね」とおやつやら果物やら、おばちゃん先生方のバッグの中から出てくる、出てくる。
ところで花博の中で目を引いたものの一つが、協賛の自動車メーカーのコーナー。車のボディ全面が蔦状の植物でびっしり覆われていて、小さな花も咲いていた。緑化プリウスだ。わあ!おもしろい!鹿児島市の環境未来館は屋根が芝生で、蔦や木々の葉で建物全体が包まれ、すごいと思ったが、建物は動かないもの。この車はもっとすごいぞ。これが道路を走るところを想像する。落葉樹だと、道路に葉っぱが落ちて困るわね?!高速は危険だ。しかし、葉っぱや花だと洗車しなくていいな。二酸化炭素を出さないどころか、光を使って水と空気中の二酸化炭素から炭水化物を合成する。また、光合成は水を分解する過程で生じた酸素を大気中に供給するって生物の時間に習ったっけ。プリウスはガソリンと電気など複数の動力源を持つハイブリッド車。ガソリンからハイブリッドそして電気自動車(EV)へと、変わっていくのだろうか?テレビを見ていたら、電気を電池に充電する方法(これはすでに実証実験中)や、液体化する方法も模索中とのこと。んま、車体に塗って車を動かす・・・なんてあり?場所をとらなくていいかも!こんな出来っこないような楽しい想像が、案外未来の車につながったりして。

*“I’M IN LOVE WITH MY CAR” Queen(1975) より引用


■編集後記

このところ次から次へと災害が起きるので、全く気の休まることがない。
この一連の「大災害」で政治家というものの不気味さを思い知った。
各地方自治体の首長である、市長、町長、村長には「政治家」と呼べるりっぱな人がたくさんいるのに、国会議員や永田町の官僚は一体何をしているのか。

自民党も民主党も辞めて、超党派で本当の「政治家」が集まり、日本をまともな国にしてくれ、と思う。
橋本大阪府知事は総理大臣になれないのか。


(文責 葱男)


■消息

砂太:『俳句界』6月号/「兼題=馬」【佳作】(名村早智子 山崎十生 選)
●駆けることが楽しい風の子馬かな  白川砂太
『俳句界』6月号/「雑詠」【佳作】(茨木和生 選)
●二分咲きの梅園と言ふ静けさよ  白川砂太

水音:『俳句界』6月号/「俳句ボクシング」【佳作】(田中 陽 選)
●春浅し街ゆく人の埴輪の目  山下水音
『俳句界』6月号/「雑詠」【佳作】(加古宗也 選)
●憧れし街は彼方に春の泥  山下水音


スライトリ・マッド:『俳句界』6月号/「めーる一行詩」【秀逸】
●ぴよんぴよんと上海雑技団うらら  スライトリ・マッド

葱男: 『俳句界』6月号/「雑詠」【佳作】(辻 桃子 選)
●さへずりや交番のある百貨店  中島葱男
『俳句界』6月号/「めーる一行詩」【佳作】
●汚されし水汚されし空残花  中島葱男


■句友のページ
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