*無法投区/紅染月*

〜天無上宇宙清浄八月尽〜


*7月に禁煙決意したものの いまだ勤煙 己寂しき=男剣士

何でこんなに意志が弱いのかなぁ。過去にやった4年の禁煙が何もならず。
いつでも止められるという気持ちが奥底にあるんでしょうね。


*喋九厘です

今回は只今開催中の写真展「鉄道撮影40年」を、遠方でご来場出来ない方の為の一部公開とさせて下さい。
携帯カメラ撮影で画質が悪いかと思いますが、どうぞ雰囲気だけでも味わって下さい。

先ずは我等が化学の恩師、故大塚先生のお孫さんの写真です。

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次は高2文化祭に出展の由布岳をバックに走るD60形蒸気機関車。昭和44年撮影です。

他に桜の季節の久大線豊後中川駅、不知火海を行く特急つばめ、彼岸花の日田彦山線の黄色のディーゼルカーです。

携帯では添付これが目一杯でお許し下さい。

以上ですが、添付順がうまく行きません。
出来れば、女の子男の子の写真を一番に。二番がモノクロ蒸気機関車の写真。
あとその他と順番変更できますと幸いです。
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*砂太の現代俳句選

「空飛ぶマンタ」:杜 アトム
一、森の扉 平成七年〜十一年
二、孔雀の夜会 平成十二年〜十四年
三、空飛ぶマンタ 平成十五年〜十七年
です。
今回も一、二、三、それぞれ三句づつを紹介します。
 
一、 
春光や高き一樹に鷲の影
春日透く珊瑚の上の船着場
言葉尻風にとられし余寒かな
二、
赤んぼの指の艶ありつくしんぼ
春宵や点るオランダ埠頭の灯
鳥風や坂の集まる遠見山
三、
初花の岬を囲む怒濤かな
ストレスのつぼに鍼打つ余寒かな
風ほのと甘き匂ひや地虫出づ


*美しい言葉=砂太

  暦では処暑を二日過ぎた、八月二十五日、柔道の恩師である、村上一夫先生の一周忌が行われた。豪快であった師を偲びながら、一盞を傾けた後、帰宅のため、今宿という地下鉄の駅の待合室にはいった。微醺をただよわせながら、ベンチに腰掛けていた私の横に、高校生らしい新しい制服の少女が座った。私も、一緒にいた友人も高校の教員であったので思わず、「何所の高校生ですか?」と聞くと、「はい、T高等学校です」ときれいな言葉と声で返答があった。「何年生?」「一年です」「今日は補習ですか?」「はい、補習がございました」という会話の後「あなたの学校の校長先生は素晴らしい方だそうですね」と問うと、「「はい、押しつけがましさが無くて、とても好きです」という答えが返って来た。美しい言葉で明るく、当意即妙、聞いていて心が弾むような少女であった。アルコール臭のある老人の質問に、いやな顔もせず、きちんと答えた態度も良かった。以前その高校の男子の生徒に同じような質問をした時にも「はい、私の学校の先生方の中で校長先生を最も信頼しています。」という答を聞いていた私は、今度のことも合わせて、私の学校の現状と比較し、或る種の危機感を持ってしまった。私の学校の生徒があの様に美しい言葉と態度で会話ができるのか。校長先生を本当に信頼しているのか。と考えると心もとない感無きにしもあらず、なのである。
実際は私の学校のみにいい得ることではなく、他の多くの高等学校にも当てはまることと考えると、背中が慄然として来た。一緒に居た友人とそのことを話しながら電車は天神駅についた。
 生徒に信頼される校長先生の居る学校、明るくて、正しい言葉使いと態度で受け答えの出来る生徒が集まっている学校、そんな学校なら恐らく素晴らしい先生方も多数居られることだろう。そんなことを考えると巷で噂される一流高とは何なのか。本当に良い学校とは・・・。等々・・・。いずれにしても私は、既に六十歳を過ぎんとしているのである。


*博多個展=葱男

博多個展

福岡で2回目の個展は、「博多リバレイン」にお店をかまえる「きもの工房・ほうしょう」さんの会場をお借りして行った。
いつもは着物や帯や和装小物しか置いていないお店に「書」や「俳画」を飾っていただいて、いつもとは少し異なった空間を作り出す事ができたんじゃなかろうか。
博多では知る人ぞ知る、「信秀」という有名な焼き鳥料理屋のおかみさんが、大きな御買い物をして下さったので、 御礼に「龍」の色紙軸を差し上げたのだけれど、お店のどこか一画にに飾っていただけただろうか。(みなさん、一度月下村の龍を探してみて下さい!)
 博多の焼き鳥屋では必ず付いて来る、あのさっぱりとしたタレのかかったキャベツのサービスは、この店のマスターが発案したものが博多中の焼き鳥屋さんに広まったというお話しでした・・・。

「呉服屋」さんなんて、ちょっと敷居の高いお店にわざわざ時間を作って来場してくれた筑高のみなさん、本当にありがとうございました。


博多句会
 
9月2日の夜には、「博多座」の地下の居酒屋に集まって、「句会/宴会」なるものを行った。
参加して下さったのは主宰の白川先生、「丘ふみ九州支部」の全員(五、喋、男、木、夏、)と葱、鹿児島からスマさん、それから、もうそろそろ入会してくれてもいいんじゃないでしょうか?雪絵さんも参加して、総勢9人が一人2句ずつを出句した。

01●秋めきてネクタイ締むる出勤時
02●兄送る火の船消えて残さるる
03●うらおもて人のこころや秋扇
04●大股に来る厚底や鰯雲
05●キジムナー踊るアダンの島の月
06●金木犀酒に浮かべて一人の夜
07●ザと開く投網の輪中昼の月
08●処暑なるか のろ台風を追ひ越さむ
09●蝉声に時の移りを知らされて
10●底紅や遠く住む子の恋のこと
11●濁流の乾く爪痕稻の花
12●父母と二日添い寝の盆休
13●盆踊り代名詞から接続詞
14●迷ひなどないように見ゆ桔梗かな
15●木犀の散りて裏庭金の道
16●夜半の秋矮惑星に旅したき
17●落日も残暑に懺悔 沐浴よ
18●立秋やドックの椅子に血を抜かれ

以上全18句の中から事前に自分の好きな句3句を選んで来る、という方法を取った。
お店が2時間の時間制限付きだったので、のっけから飲み喰いしながらの、いささか急ぎ足の、くだけた句会になってしまったけれど、それぞれの会員が自分の選を自分の声で披講し、砂太先生がそれぞれの句に対する句評や感想を下さいました。はじめての経験で戸惑うところが多かったかもしれませんが、少しでも句会の面白さが伝わってくれれば幸いです。
ちなみに最高得点の5点句は次の2句でした。
●うらおもて人のこころや秋扇=雪絵
●兄送る火の船消えて残さるる=葱男
(企画者への御祝儀もあったみたい???)

次回、10月の京都は、「丘ふみ」関西支部=「関一呑」のみなさんの出番です、またまた、よろしくね!


*2006年歓喜乱舞の夏 青森ねぶた=資料官

●別れても行き着くところ夏祭り
電車
(昔から下関や門司,軽井沢や横川など鉄道ファンにとっては名所でもあり,また色々な名物も登場した。盛岡駅に着くと八戸行き「はやて」と秋田行き「こまち」がここから別れて運転される。機関車の付け替え,列車の連結・分離のある駅には列車が長く止まり,連結分離のシーンを見物する子供たちや鉄道ファンが集まっていた。8月に入ると一斉に東北各地,夏祭りが始まる。「はやて」はねぶたに向かい,「こまち」は竿灯を目指す。)


●汗たらり天守閣より津軽富士

●夏雲の湧きてぼんやり津軽富士
(青森から奥羽線を弘前に向かうと津軽平野の向こうに南部富士こと岩木山が見えてくるはずであったが,真夏はなかなか見えませんね。弘前城の天守閣に登ってみたが,裾野がぼんやり見える程度。急な階段,暑い暑い。弘前ねぷたも今宵が一番にぎわう。)

●新しきデジカメ担ぎねぶた追う
(ついに手に入れた一眼レフのデジカメ。その重たさを忘れやって来るねぶたの姿を追った。)

●一年をねぶたで跳ねる為に生き
(地元の奥さんがしみじみと,「青森の人はこの一週間のために1年を生きているようなものです」と話されたことがとても印象深かった。)

●お囃子の笛鳴りねぶた始まれり
ねぶた
(花火が上がり一瞬の静寂を経てお囃子の笛の音が鳴り始める。そこからねぶたが始まる。)


●拍手して武者ねぶたを引き寄せり
ねぶた2
(ねぶたの曳き手の合図でねぶたは左右に動き、沿道の観客の目の前に止まってくれる。曳き手を引き寄せるために必死になって拍手を続けた。)


●乗り出してねぶた跳人の鈴拾う
(ハネトの浴衣にはたくさんの鈴が付いているが,ハネトが跳ねて道路に落ちた鈴を必死になって拾うおば様たちがいた。)

●鈴の音やねぶた跳人も家路かな
(ねぶたの夜寝ているとハネトが帰宅する音が聞こえたそうな。ねぶたの夜は門限も緩やかだったらしい。)

●凌霄花気ままに咲いて散りにけり
(泊めてもらった先輩宅の庭には見事な凌霄花が花をつけていた。写真をとって送ったら,私たちが帰ったあとに満開になりましたというはがきを頂戴した。)

●庭に出て水打つ音に目覚めけり
(普段だらしない酒飲みも,実家に帰ると早起きをして庭の水やりに精を出す。妙に感心して朝を迎えた。心地よい目覚め。)

●ねぶた去る朝アウガァのほたて買う
(市場がそのままデパ地下に入ったような青森アウガ(あうがぁ!)。殻付きホタテが安いこと。入鈴いわく「アウガさいっだべが。ほだでもえげど,ほや,あわび,小川原湖のすずみもいがっだでしょ?」。)

●連絡船なき青森の青林檎

●まるかじり青森駅の青林檎

●青林檎食めば遠くの汽笛かな
(帰京する朝,早くも青森駅の構内にはりんごが並んでいた。まだ連絡船が残っていた昔々濱地さんと青森駅の上り急行八甲田で待ち合わせて,りんごをかじって空腹をいやしたことを思い出した。)

●遠花火見て東京に戻りけり


*かごんま日記: "POLAR BEAR" = スライトリ・マッド

2006年8月27日

*秋暑しライオンは寝ているごろり
鹿児島市郊外の225号線沿いに平川動物公園がある。昭和47年に鴨池動物園から移転したもの。面積は31.4万平方メートルと広く(ちなみに福岡市動物園の3倍の広さ)桜島を望む景色や園内の中央を流れる五位野川や雑木林などの自然の景観も良い感じ。
正面のゲートをくぐるとまず目に入るのが桜島と錦江湾をバックにしたアフリカ園。キリン、シマウマ、サイ、ダチョウ、フラミンゴの群れ。異種の動物が同居している。今日は夏休み最後の日曜日だからか、家族連れが多い。このところ、大気が不安定で降ったり晴れたりのお天気だ。午前中は晴れていたが、風がなく蒸し暑かった。人気のコアラはどこに顔があるんだろ?まあるくなってユーカリの木の上で寝ている。トラもヒョウもライオンもみんな夏バテか?夜行性なのかな?百獣の王ライオンは木陰の狭いところでグダーっとひっくり返っている。思わず笑ってしまう。

*白帝やクマ泳ぐ水ひんやりと
園内に「11時から北極熊に氷のプレゼントをしますのでクマ園へどうぞ!」とアナウンスが流れる。見に行く。ホッキョクグマが2頭。オスのホクトとメスのカナ。どちらも15歳で、体長約2.5メートル、体重約300キロの巨体。北極産まれのため、南国の照りつける太陽は苦手だろう。連日30度を超す真夏日に、バテ気味の様子。そんな2頭に1日1回、氷の差し入れがあるのだ。アイスの「南国白くま」を販売するセイカ食品と地元の魚屋さんが91年からプレゼントしているそうだ。今年も7月の終りから8月いっぱいまで、毎日約70キロの氷を一つずつ贈る。
11時きっかりに西鮮魚店とロゴの入った軽トラックが横付けされる。老夫婦が手際よく、重い氷を、板を使いテコの原理で、シロクマ園の水槽に投げ込む。水しぶきがあがる。誰もがクマが喜んで氷を胸に抱く場面を想像する。幼い子どもたちが、口々に「くまさん、こおりだよ」と叫ぶ。しかし、今日のシロクマはご機嫌斜めなのか、氷なんか知らんぷり。クーラーの冷気口から離れない。鼻の先を上に向けうろうろ。嗅覚を研ぎ澄ませているのか?30分後にもう1度訪れてみると、氷は水に溶け小さく浮かんでいた。シロクマは、少しは冷たくなったであろう水の中で今度は気持ち良さそうに泳いでいた。

*にわか雨白くまアイスの頭痛して
シロクマと言えば、今のように情報が発達してなかった時代の頃の話だが、東京の大学へ行っていた人が、夏休みが近づいた頃、「早く鹿児島へ帰ってシロクマを食べたい」と言ったところ、周囲の人たちが「えっ、鹿児島の人ってクマを食べるの??」と驚いたという笑い話もあるように、鹿児島では、白くまは、かき氷の代名詞。スーパーや駄菓子屋の軒先で売られるカップ入りかき氷も「白くま」。
白くまという名前の由来については諸説あって。1つは、今から約60年前、西田本通りにあった綿屋さんが、夏の副業としてかき氷屋をやっていて、そこの新メニューとして作った、練乳がけのかき氷の名前を考える際、練乳の缶に貼られていたラベルの白熊の絵から借用して使ったという説。この説はセイカ、鹿児島県が採用。2つ目は鹿児島市天文館の喫茶店「むじゃき」の店主が特製の甘ったるくないミルクシロップをかけたかき氷を考案し、それに豆やフルーツをトッピングし、上から見た姿が白熊に似ていることから命名したと言う説。これは「むじゃき」が主張。しかし、まあ、どうでもいいようなことなので、真相は明らかではない。

動物園の帰り、急に空が暗くなってきて、雨になる。中央駅西口の「むじゃき」ではない、かき氷屋で、雨宿りし、白くまに挑戦。十六寸豆、チェリー、アンゼリカ、レーズン、ミカン、黄桃、パイナップル、西瓜、メロンにバナナと何でも乗っかっている。大き過ぎる!ふわっとしたさくさくの氷で美味しいが、頭がずんずんしてくる。アイスクリーム頭痛かなあ?

In the bright shop window sits the polar bear
Makes the children's eyes light up to see him there
Amongst the tinsel he gives everyone a smile
To see him as you'd see a star
Love him from where you are
He's not for, not for, not for sale
Past an open window walks the pretty girl
Does she see me at her feet it's hard to tell
But if I ask her she might turn her smile away
To see her as I'd see a star
Love her from where you are
She's not for, not for, not for sale
I guess I'll learn to look
Without a grasping hand
Minor contentment wears a smile
I love her from where I lie
He's not for, not for, not for sale
Not for sale

*"POLAR BEAR" by QUEEN (SMILE:1969) より引用


  ■編集後記
博多での個展の準備に追われ、心身ともにいっぱいいっぱいだったのに、またまた4連ちゃんで呑んでしまいました。 二年前の「ギャラリー大久保」の時は、同窓会も重なって5連ちゃんだったのに全然疲れなかったのが、今回は夜行バスで京都に帰り着いた時はもう、へろへろのぼろぼろだった。まだ53歳だというのにこの体たらく。ああ、自分が情けない(>_<)

砂太先生、二六斎先生の勤勉と自己管理とダンディーな生き方を学ぶのは、俳句を学ぶ事よりも数段難しい事だろう。

(中島、文責。)

無法投区

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