*無法投区/葉月*

〜何処へ向かう?日本丸〜


●土産さておき洗濯差し出す親不孝=資料官

(仕事で九州へ、休みの日には実家に顔を出す。台風接近、土産よりも先にあわてて洗濯物を差し出す。雨降り出す前によろしくと。)

●熱計算 気温の条件 38℃=前鰤

(アジッ・・アッジー・・・ 二昔前は アツッ・・アッツー・・・、地球温暖化を嘆かせて頂きました。)

●回想も アテネも寄り切る 夏の冬ソナ=久郎兎

(日韓の文化交流がテレビドラマからブレイクするとは思わなかったなあ。驚きです。)

●会社へと急ぎし父の靴音を 七時の天地下耳を澄ませる=入鈴


*祝いアテネオリンピックの日本金メダル受賞者を祝す川柳=五六ニ三斎

●のむさんもびっくり三度の金メダル=野村忠宏 柔道 60kg級
(のむさんは野村監督のこと)
●田村には、〜田でも谷でもアテネーよ=谷亮子 柔道48kg級
(あってねいよ〜、あってないが如し)
●丸芳露次のお菓子は金パイだ=北島康介 水泳100m平泳ぎ
(北島の丸芳露は佐賀の銘菓です。そこが出すお菓子は金色のパイがいい!)
●二百でも北島さんにはいハンセン=北島康介 水泳200m平泳ぎ
(北島のライバルはアメリカのハンセン)
●内柴もシルバーでなく金とった=内柴正人 柔道66kg級
(シルバーを早口で言ってください!)
●体操が金でたいそう嬉しいな=男子体操団体(鹿島丈博、水鳥寿思、中野大輔、冨田洋之、塚原直也、米田功)
●歩みより古賀との抱擁金字塔=谷本歩実 柔道63kg級
●アテネ金上の階級めざします=上野雅恵 柔道70kg級
●あんなでもあぶなく金がとれました=阿武教子 柔道78kg級
(あんのでもあぶ(阿武)なく金がとれました)
●マナドウもしばったというスパートだ=柴田亜衣 水泳800m自由型
(マナドウは2位のフランスの選手)
●無差別の金のすずきは頼んだぞ=鈴木桂治 柔道100kg超級
(すずき・・つづき)
●あの体つかんだらまき金あげる=塚田真希 柔道78kg超級
(つかんだら負け)
●マラソンの伝統見ずきでなかった金=野口みずき 陸上女子マラソン
(きんはけんと懸けてますけん!二重否定文です!)
●伊調さん胃腸の調子よかった金=伊調馨 レスリングフリースタイル63kg級
●外人の連勝伸ばしてほしい金=吉田沙保里 レスリングフリースタイル55kg級
●厄アヌシュ薬アヌシュなりこうじ金=室伏広治 陸上ハンマー投げ
(アヌシュは金メダルはく奪されたハンガリー選手!厄ある主と考えてもらうとよい !こうじ菌とも懸けてます。日本の伝統食は薬物をしのぐ!)

*ベイツ・カンガルー=月下村

友人の女性の歌唄いの名前である。外人さんには見えない。
はじめてその動物を見たエゲレス人が「あの動物は何?」って尋ねたところ、アボリジニはこう答えた。「分からない(カンガルー)・・・」
たまにメールを交換するのだが、この前こんな事を書いてきた。「ベイツカンガルーです。朝カメの鳴き声?を聞きました(笑)。」
『亀鳴く』は春の季語になっている。
●亀泣けり 忘るなと はた忘れよと(佐藤明彦)
●亀鳴くや 深き森より巫女二人(戸田穂波)
歳時記の解説によると「亀は鳴かないが、うらうらした春の日にはそんな感じのするものとして使われる。」とあった。 そんな事を彼女にメールすると、返事が来た。
「私がウラウラしてたのか、アゥアゥアゥって3回(笑)みました。俳句おもしろいです。」
やっぱり彼女はカンガルーですね。国も民族も種も越えて・・・。 

*夏の終わりに=スライトリ・マッド

新幹線つばめに乗った
揺れなかった、速かった、快適だった
人は何かを得て、何かを失うものか
くねくね曲がる東シナ海は見えなかった
可愛がっていたインコが死んだ
夏の終わりを感じた日
ポストにピッピのおじちゃんからの手紙があった

前略
K子ちゃん
先日は、たいへん、たいへん念の入ったきれいな絵はがき頂いてありがとうね。
すぐもっと早くからお礼を言いたかったのに、今頃になり御免なさい。昨日写真を撮り、やっとお礼の手紙を書くことが出来まし た。
おじさんの家はね。おばさんが、まだ70才にもならないのに、よく聞くでしょう「痴呆」でね。もう自分のことも出来ないので す。だからおじさんが家のこと一切一人でがんばっているのです。それでも去年暮れまでずっと家事一切しながら勤務に出ていたの ですよ。今はおじさんも年齢のせいか西田山形屋ストア近くのしもたたら内科に通っています。おばさんは、ちょいちょい往診で来 てもらっています。おじさんの大好きだった焼酎も呑めなくなりました。自分でやめました。お父さんからいつもお土産に頂いて、 喜んでおいしく呑んでいた頃がなつかしく、胸のつまるような思い出です。
こんな念の入ったK子ちゃんの絵は、孫が1年生のときのいろいろな賞状の中に入れました。部屋の壁の上にビニールを張ってその 中に、K子ちゃんのも入れていつも朝夕眺めることにします。本当にありがとう。
夏休みも終わりましたね。また2学期も1学期よりもたくさんがんばってね。お兄ちゃんに「受験勉強がんばるように」と。じゃ今 日はこれでペンを置きます。またいつか皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
草々

ピッピのおじちゃんことK氏は、去年の暮れまで我が家から歩いて30秒の市営バスの終点のバス停で、バスの誘導をしていた人。笛を 吹く音から「ピッピのおっちゃん」と呼んでいた。子どもたちにはいつも声をかけてくれ、よくおやつやジュースをくれたので、お返 しに焼酎をあげたりしていた。年が明け、賀状に仕事を辞めたということが書いてあり、会えなくなってとても残念に思ってた。暑中 見舞いをもらい返事を出したところ、再びこのような手紙をもらったのだった。

■編集後記
日本では暴風雨で台風続出の異常気象。びっくりしたのか浅間山まで噴火した。(編集中、近畿地方に大きな揺れ!! 地震まで起こってしもた!)
アテネでは連日の熱暑でこれがほんとの「炎の祭典」=炎帝のお祭りが終わりを告げた。
オリンピアードの威力も及ばず、相変わらず、イラクもチェチェンもイスラエルも何も変わらない。(もっといえば地球上のあらゆる地域がテロの恐怖に怯えている。ロシアの惨事には絶句。)もう、だれか特定の個人を中傷しても揶揄しても空しさのほうが強い。
人類に素晴らしい文化と歴史があったことはアテネの開会式が教えてくれた。その膨大な栄光に比肩する分だけの野蛮で俗悪なふるまいを人間が抱えてきたという事実もまた、同時に白日のもとに曝された感がある。
人間は天使にもなれれば野獣にもなれる。その両方の存在の重複した姿を深く理解しなくてはならないのだろう。
五輪の舞台では世界中の天使達の顔、天使達の仕種をたくさん見ることができた。
その感動をすぐに忘れてしまうのが我ら凡人であり、心に深く刻み込むことができるのが当のメダリスト達かもしれない。「長島Japan」の選手全員に監督が言いたかったのはそういうことだろうと思う。日本でも有数の「天使語」堪能の現人神か、あのおじさんは?・・。
キリスト教世界では「音楽」や「芸術」は天使の声だと言われている。(ゲーテ)
「游俳倶楽部」もそうだとは言わないけれど、天使にもいろいろあって、クピドは悪戯ばかりしてるし、『創世記』全天使の三羽(?)に一羽は堕天使となって地に墜ちたらしい。
仕方ないよね。小泉首相じゃないけれど、天使もいろいろ、俳句もいろいろです。(中島 文責  05/AUG/2004)

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