*無法投区/神有月*

〜爽やかやこの丘に生き今日集ふ〜


●丘ふみ同窓会・祝句

2005年11月5日(土)
博多は「日本浪漫座」を会場に筑紫丘高校第23期卒業生の同窓会が開催されました。

砂太/白川昌弘先生
●爽やかやこの丘に生き今日集ふ
●丘の上に秋爽至り我等有り

久郎兎/久木田順一
●但願ふ友の長久秋の宵(ただねがう、とものちょうきゅう、あきのよい)
●友祝う華の賑い秋の宴
同窓会に今回は訳あって出席出来ない53の僕の気持ちを詠みました。

須磨/遠藤英子(旧姓・森英子)
●行く秋の友の莞爾(かんじ)や同窓会
●神集(かみあつめ)出会い言祝ぐ博多の夜

五六二三斎/原孝之
●秋深し三十五年別れより
●泣き笑ひ同窓会の秋の宵
●十八の秋の面影同窓会

月下村/中島雅幸
●縁結ぶ神有月の浪漫かな
●秋の灯に面影映し注ぐ盃


*幻と消された今月の句=澄響

●渋柿も皮むき干せば甘くなり
●コスモスの白さに何故か涙ぐみ
●サルビアのあざやかな赤くっきりと

月:全部、私がわるいんです


*沖縄蝶句=五六二三斎

●沖縄の島唄の舞ひ秋の蝶

10月1〜3日に出張で沖縄に行きました。出張は保健所での学生の実習の御礼のた めの挨拶で、3日の月曜日にたった2時間で終わりました。土曜日から出かけて、レ ンタカーを借りて、沖縄のポイントを北から南まで廻りました。12種蝶を追加しま した。そのうち、いくつかの蝶句を紹介します。

シロオビアゲハ

白い帯のある黒いアゲハチョウでまるでベルベットのようにかわいいです。
●白帯をきりり締めたり秋の蝶

ツマムラサキマダラ

前翅の先(つま)が紫に光るマダラチョウの仲間です。いかにも、南洋の蝶という感 じです。
●南より紫の使者秋の蝶

アオタテハモドキ

最後の最後に首里城のそばの公園で発見しました。雄は青い光を放ちます。
●沖縄のコバルトブルー秋の蝶


*イリノイの俳句はちょっと遅かった=ひら百合

一夜漬けで脳みそミひねって絞り出した10月の句。
コンピューターの作文ファイルに書いただけで、送るの忘れて たみたい。
すっかり送った気になっていたので、選句こないなあ。
同窓会でごたごたしてるのかなあなどと思っていました。
部長に催促出した後、送信記録を念のため調べたら、ない!
・・・というわけで、部長のご厚意に甘え、ひら百合の手遅れ 俳句ということになりました。
以下送ったつもりになっていたファイルから
**********************
宿題のできていない生徒の心境
一日一句ぐらいの心構えを来月は心がけましょう
遅くなって申し訳ありませんでした

A部門
●ガガイモの逆光に銀ファンタジァ
(月:ガガイモって何?蛾の鱗粉?)
●あかあかと紅葉燃えて雨に消ゆ 
(似たような発想はあったかも、重複してたらごめんなさい)

●ししとうの辛さ益々秋深し

B部門
●死ぬ気なら生きていけると決めた秋

●十七忌逝きても生きる祖母の秋


*かごんま日記:" INNUENDO"= スライトリ・マッド

10月26日
*秋湿りマグマの果ての温泉(ゆ)を掬ふ
今日は26日→2(フ)6(ロ)→お風呂の日!毎月26日は、各温泉でいろいろなサービスをしてくれる。ヤクルトを一本お風呂上りにくれるところもあれば、入浴料を割り引いてくれたりもする。銭湯の温泉は料金が統一されており、どこも330円。回数券を買うと一回当たり300円で入れる。お風呂の日には280円でなんだかラッキーな気分になる。かごんまには桜島が属する霧島火山帯の影響で、温泉が多い。市内には約240箇所の泉源があり、県庁所在地としては日本一、全市町村でも9位にランクされる。あちこちに銭湯の温泉があるのは、お風呂好きにとっては嬉しい話だ。私の行きつけの温泉は鹿児島中央駅近くの西田温泉。かけ流しの天然温泉。昭和41年にオープンした小じんまりとした温泉である。番台のおばちゃんによると、最近はお客さんが減る傾向にあるそう。私的には、世界とまでは言わぬが、日本遺産に残したいような、いい温泉だ。

*白粉花や敦子の刀自(とじ)を慕ひつつ
西田温泉の正面入り口に、歌人税所敦子宅跡の碑がある。税所(さいしょ)敦子は1825年(文政8年)京都の生まれ。20歳のときによかニセ(=男っぷりのいい男性:かごんま弁)と京都の恋に落ちる。そして後妻としてその薩摩藩士税所篤之に嫁ぐが、28歳のときに夫を亡くす。その後、継子たちを養うために、夫の郷里鹿児島に戻る。たいそう意地悪なお姑さんであったそうだが、孝養を尽くし、いつしか名君の誉れ高い島津斉彬に認められ、その子哲丸の子守役に選ばれたという。後に、近衛家に嫁いだ、久光の養女貞姫の侍女として、京都に赴く。1875年(明治8年)には宮中に入って天皇家に女官として26年間務めたという、ジェットコースターのような人生を歩んだ女性。彼女が薩摩で住んだという税所家のあったところに温泉が湧き、平成の世の今日、さまざまな人たちの憩いの場所となっている。碑の横に白粉の花が可憐にも咲いていた。

*JIUZHAIGOU 山粧ひて夢うつつ
温泉にもいろいろあるようだが、この西田温泉は昔ながらの特に人情味溢れる温泉。背中を流しっこしたり、挨拶を必ず交わしたりする知り合いがいる。美容にいいよ!とアロエやら塩に蜂蜜、ヨーグルト、糠など混ぜ合わせた、わけのわからぬものを分けてくれ、それを顔に塗っては、そのおかしさに笑い合う。サウナの中では四方山話に花が咲く。裸だとすぐにわかるのだが、洋服を着てスーパーなどで声をかけられると、一瞬誰だかわからないようなこともあって、文字通りのハダカの付き合いだ。温泉友達の1人柴田さんが、先日、中国は四川省にある世界遺産のキュウサイコウ(JIUZHAIGOU)を訪れ、写真を見せてくれた。この世のものとは思えないような不思議な美しい景色と池の色だった。私も一度実際にこの目で見てみたいと思ったものだ。

*月かげや四百年の樟の葉に
昨年、新幹線が開通して以来、中央駅の周辺はマンションラッシュだ。田んぼなんか今は見られなくなってしまったが、天保年間の頃の地図を見ると西田温泉の一帯はのどかな田園地帯で、4,5番目に大きな町だったらしい。西田橋をはさんで、西田や常盤地区は農民が居住し、橋の向こう側に武士が住んでいた。敵が攻めてくると、甲突川の橋の下の部分に土嚢を積み、流れをせきとめ、下層階級の住む西側に流れを作り、わざと水浸しにしていたとも聞いた。今では考えられないようなことが平気で行われていたのだろう。
現在バスが通っている西田本通は昔と同じ道幅で、歩道の部分に一般庶民が土下座をして、殿様が行列するのを送ったという。そんな時代に生まれなくてよかったと思うが、人は生きているその時代しか生きられないものだ。当たり前のことだが。あと百年したら、今の私たちが不自由な生き方をしていたと同情されるのかもしれない。温泉の近くの本通沿いに会所があった。ジョン万次郎が連れて来られた場所だ。当時外国帰りの者は、罪人扱いであったが、先見の明のあった斉彬は手厚く保護をし、彼から西洋の造船の技術など聞き取りをしたと言う。会所跡は現在、吉永醸造店という醤油屋になっている。西田本通をまっすぐ行ったところに日枝神社がある。その境内に樹齢400年のクスノキが今も生きている。歴史をずっと眺めてきたクスノキに、今の時代はどう映っているのだろう?

While the sun hangs in the sky and the desert has sand
While the waves crash in the sea and meet the land
While there's a wind and the stars and the rainbow
Till the mountains crumble into the plain
Oh yes we'll keep on tryin'
Tread that fine line
Oh we'll keep on tryin' yeah
Just passing our time

While we live according to race, colour or creed
While we rule by blind madness and pure greed
Our lives dictated by tradition, superstition, false religion
Through the eons, and on and on

Oh yes we'll keep on tryin'
We'll tread that fine line
Oh oh we'll keep on tryin'
Till the end of time
Till the end of time
Through the sorrow all through our splendour
Don't take offence at my innuendo

You can be anything you want to be
Just turn yourself into anything you think that you could ever be
Be free with your tempo be free be free
Surrender your ego be free be free to yourself

Oooh ooh
If there's a God or any kind of justice under the sky
If there's a point if there's a reason to live or die
If there's an answer to the questions we feel bound to ask
Show yourself - destroy our fears - release your mask
Oh yes we'll keep on trying
Hey tread that fine line
Yeah we'll keep on smiling yeah (yeah yeah)
And whatever will be will be
We'll keep on trying
We'll just keep on trying
Till the end of time
Till the end of time
Till the end of time

"INNUENDO" by QUEEN(1991)より引用


■編集後記
今回の兼題は「誕生」と「消滅」だったが、どうやら、資料官殿と私は一日違いの10月29日と 10月30日が誕生日のようである。
●さそり座のをとこやれやれ誕生日=資料官
裏話だがこの句が月下村の句だと勘違いしていた人が何人かいたみたいだ。
いずれにしても多くの会員のみなさんからお祝のお品やお言葉を頂戴いたしました。
この場を借りて御礼と感謝の気持ちをお伝えします。
それから資料官殿、知らずに申し遅れましたが、誕生日おめでとうございます。
ほんとおたがい、「やれやれ」ですなあ〜。
博多俳句会の席で吾等が砂太先生が盛んにこの「やれやれ」が佳いと仰っていました。(先生の選句ではこの句が天位でした。)
(中島、文責。)

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