*無法投区/雁来月

〜北天に波郷の残る夜長かな〜



*ドイツのトラム=資料官

●エコの街夏木立からトラム来し
●ローレライ仰げば涼し遊覧船
●ゴンドラの下は一面青葡萄
●鐘の音やミサに向かふ日焼け顔

鉄道王国ドイツでは57の都市にトラムが走っているそうだ(JTB Can Books「世界のLRT」による)。福岡と人口がほぼ同じミュンヘンでは10路線70kmのトラムの路線があり,人口が10万人程度の久留米や大牟田の規模の街ですらトラムが走っている。DB(ドイツ国鉄)の路線に乗り入れしているトラムもあるらしい。いずれも,決して古風な車両が走っているわけではなく,派手な色合いや一面に宣伝文句を背負ったトラムが古い町並みに妙に似合っているのである。教会や夏木立の隙間から突如として現れ建物スレスレに走り抜けて行く。停留所にはトラムの到着までの時間を知らせる表示があり,待っている人々に安心感を与えている。車高は低くて乗りやすいし,バスと違って線路のあるところしか走らないのがわかりやすい。地下鉄と違って駅やホテルなどの目的地の建物などが見えてから下車することも可能である。
夏休み,フランクフルトとハイデルベルクのトラムに乗り,ミュンヘン,ヴェルツブルグ,マインツではトラムの撮影ができた。トラムの加速は良くてゆれも少なく,乗り心地は良い。自販機でキップを買うのには若干苦労するものの,きっぷを買えばあとは乗るだけ。扉の開閉は自分でボタンを押す必要があること,不正が発覚した場合には多額の罰金が徴収されることに注意すれば良い。
翻って,多くの街から路面電車を葬り去った日本,昨今復活の兆しが見られるものの,あくまで局地的である。地下鉄は速くて便利ではあるものの,ホームにたどり着くまでが大変であり,身近な乗り物とはなかなか言いずらい。自動車に邪魔されず,裏道をもスムーズに走りこまめに停車するトラムが市民の足として定着しているドイツとのその差はあまりにも大きい。


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1:2011年8月6日  フランクフルト  レーマー広場のトラム

2:2011年8月7日  金融都市として発展したフランクフルトの高層ビル
ホテルの窓からトラム



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3:2011年8月7日 ロマンティック街道の入り口 ヴュルツブルグ市内のトラム
市庁舎の塔の横を走り抜ける

4:2011年8月11日 ミュンヘン市内のトラム


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5:2011年8月11日
ミュンヘン カールス広場には色々な路線のトラムが乗り入れる

6:2011年8月11日
ハイデルベルク ビスマルク広場のトラム

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7:2011年8月12日 ハイデルベルク 中央駅前トラム

8:2011年8月13日 マインツ 市内のトラム
シャガールのステンドグラスで有名なザンクトシュテファン教会の塔

●中世の街はそのまま雲の峰
●大夕焼けローテンブルクのシルエット
●万緑の街道レンガ色の街
●朝涼しお城へ向かふ馬車の音
●まさをなるミュンヘンの空ダリア咲く
●哲学の道をてくてく青林檎
●グラジオラス土手の向こふはライン河



かごんま日記:“DONユT STOP ME NOW” = スライトリ・マッド

2011年9月5日(月)
*星流るはつぴいばあすでいつうゆう

I'm a shooting star leaping through the sky
Like a tiger defying the laws of gravity
I'm a racing car passing by like Lady Godiva
I'm gonna go go go
There's no stopping me

I'm burnin' through the sky yeah
Two hundred degrees
That's why they call me Mister Fahrenheit
I'm trav'ling at the speed of light
I wanna make a supersonic man out of you

Don't stop me now I'm having such a good time

今日は、故フレディマーキュリーの生誕日。生きていたら65歳。忌日がたしか11月24日だったのは憶えていたが、誕生日は知らなかった。東京に住む友人のマルちゃんから「グーグルロゴでクィーンの曲が流れてるよ。モリちゃん、見た?」とのメールが入る。7月末の追突事故以来、通院と保険会社との交渉に追われる毎日で、気持ちに余裕がなかった。メールに気づいたのは日にちが過ぎた後だったが、早速youtubeでチェック。文句なしに楽しい。“Don't stop me now"の曲をバックに動画のアニメーションが弾けていた。歌詞の中にレディ・ゴダイヴァが出てくるが、ゴダイヴァ夫人は、裸で白馬に乗った貴婦人で名を馳せた実在の女性。11世紀のイギリス、コベントリーで重税に苦しむ人々を救うために減税を領主に嘆願した伯爵夫人。夫であり領主でもある伯爵が「一糸まとわぬ姿で町を一周したら願いを叶えてやろう」と高を括って約束したところ、夫人は悩んだ末に「誰も見てはならぬ」とお触れを出し実行。そこで覗き見してしまったのがTom。で“Peeping Tom”に!7月にレディ・ガガが来日し、徹子の部屋に出ていたが、予想を裏切らぬ奇抜なファッションだった。ガガの初期に制作された楽曲に携わった音楽プロデューサーのロブ・フサーリはガガの声のスタイルをフレディマーキュリーのそれと比較しクィーンの楽曲“RADIO GAGA"をもじり、現在の芸名"Lady Gaga"を彼女に与えたという。フレディもゴダイヴァ夫人もガガも個性的過ぎるほど個性的!!

 *“DONユT STOP ME NOW” by Queen  (1979) より引用


■編集後記

今月は丘ふみの編集が大幅に遅れて大変申し訳ありませんでした。 4日から11日まで東京に行ってきました。
「manicolle tokyo」、全国から20万人のバイヤーが集まるという、日本最大級の「ギフト・ショー」に初めて出展して来ました。
夫婦ふたりで作っている布フェルトやショール(「セレネッラ」の咲くころ」)の類はまだ日本では珍しい商品のようで、想像していた以上に多くのビジネスチャンスを掴むことができて、あ〜、東京に行って本当によかった、よかった!

人形町から東京ビッグサイトまで地下鉄とバス乗り継ぎの通勤も経験してきました。
10、11日は東京中を歩き回っていろんなお店を見てきました。
朝御飯を食べるところから、通勤ラッシュまで、人また人の波の中を泳ぐには相当の気力、体力が必要ですね。東京で働いている人達は毎日をこんなふうに戦っているのだと思うと、本当にすごい体力やなあ〜!って感心することしきり。
僕ら夫婦は京都で随分のんびりした生活を送っていたんだな〜とあらためて実感した次第です。

ビッグサイトに行く途中のバスの中から(晴海のあたりでしょうか?)橋の向こう、ビルの向こうにスカイツリーを見ることができました。
あまり興味のなかったスカイツリーでしたが、実際に現物を見ると、やはり遠くからでもすごい存在感があって、ちょっと感激しました。
人形町、表参道、神楽坂の界隈も堪能できたし、飯田橋の「キャナル・カフェ」から見た待宵の月がとっても美しかった、とても有意義な東京出張でした。

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(文責 葱男)


■消息

砂太
●満潮の力極まる夏漁港  白川砂太
『俳句界』9月号/「兼題=力」【佳作】(橋爪鶴麿 選)
●車椅子の手が触れてゆく藤の房 白川砂太
『俳句界』9月号/「雑詠」【佳作】(奈良文夫 廣瀬直人 選)

水音
●清和の天鏡花の芝居はねてなお  山下水音
『俳句界』9月号/「雑詠」【佳作】(有馬朗人 選)

葱男
●陽の力若葉の力対峙せり  中島葱男
『俳句界』9月号/「兼題=力」【佳作】(名和未知男 選)

五六二三斎
●どの蝉も朝は勝手なリハーサル 原たかゆき
『俳句界』9月号/「めーる一行詩」【佳作】


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