*無法投区/雪解月
〜三月の外ッ国のひと辞儀深し〜
*会社の同期の死=資料官
●還暦の訃報ばかりの寒明ける
●春寒し不意に香典返し着く
●小金井の桜なつかし入社式
2013年1月
上野東照宮牡丹園 冬牡丹
1月末に会社の同期が逝去。長らく病気療養中と聞いていたものの,1月に還暦に到達したばかりのことであり,突然の訃報に接し何ともやりきれない気持ちになった。昭和50年4月に某金融機関に入社した同期は総勢37名。これぐらい少なければ全員の顔は分かるし,同じ部店で働いたことがある者も少なくなく,最近は年1回同期会で顔を合わせていた。これで我が同期はすでに5名が故人となったことになる。これまで生死を彷徨うような大病をしたものも少なくなく,この高い死亡率は前後の同期の中でも突出している。後厄のお払いが必要かも。
おりしも,2月6日に同期全員が還暦に到達するので,この日に同期会を予定していたのであるが,図らずも故人を偲ぶ会になってしまった。すでに同期全員が某金融機関を退職し,第二の職場に転籍してしまっているが,さらに数名はそこも退職して完全リタイヤの生活に突入している。近況を尋ねると毎日大事なのは教養(今日・用)と教育(今日・行く)だと嘯いている奴もいる。また,俳句を嗜む奴もいて,会社のOBの句会への参加を勧められるが,会社の連中との顔合わせもほどほどにと思い,今のところ遠慮している。
丘ふみ游俳倶楽部第7号(平成17年2月)の無法投区に同期(3人目の故人)の葬儀の際の句を掲載したことがある。まだ俳句を始めて半年ぐらいの駄句ばかり。にもかかわらず恥も外聞もなく,故人の奥様に丘ふみ游俳倶楽部の抜粋をおおくりしたところ,故人の母親が俳句を嗜んでいたらしく,奥様から「息子のことをこんなに思ってくれた方がいらっしゃったこと,嬉しい限り」と母が申しておりますとのお手紙を頂戴した。それから7年を経て丘ふみ游俳倶楽部は100号を越えたが,我が同期の物故者は5名となり全体の1割を超えてしまったのである。
丘ふみ游俳倶楽部第7号(平成17年2月)から
無法投区 *涙痕抄2005年新年=資料官
親しかった会社の同期が2日に逝去。新年は葬儀で始まった。旧年中に見舞いも考えたが,行っても判らぬとのことで遠慮していた。やはり悔いが残る。
●何もせず訃報伝えし初仕事
●暮れの雪残りし二日君は逝く
●涙雨歩道を濡らし冬の暮れ
●通夜帰り赤ちょうちんに冬の雨
●もの言わず暖簾くぐりし寒さかな
●熱燗や三十年がしみ渡り
●友人を彼岸に送りし七日かな
●外套の恩師白髪かくしゃくたり
●母一人焼香に立てり親不孝
●北風や耐えて出棺見送りつ
A部門
●もの言わず暖簾くぐりし寒さかな=資料官
◎五,君△入,ス=8点
(五:うつむきてまた顔あげる晩夏かな(一木)と同じ作者と思います。男は黙ってサッポロビールというコマーシャルがありましたね。寡黙な男には,ロマンと哀愁が漂っている。作者の誤りがある場合には,お許しを!まさか,丘女の句やったら,どないしょう! 君:もの言わず が効いてる。 入:こういう暖簾のくぐりかたって,おばさんにはできそうにない。 ス:男の世界だあ。)
●熱燗や三十年がしみ渡り=資料官
△月,五,澄=3点
(月:ちょっと甘口の酒にしたい。 五:熱燗に三十年やられた胃壁に,男の哀愁が漂い,共感を呼びます。 澄:30年短いような長いような〜。)
丘ふみ游俳倶楽部*第二十九号(平成19年1月)から
彼の三回忌法要にて
●漱石忌ロンドン帰りの友の墓=資料官
△二,雪=2点
2013年1月
練馬区役所展望階20Fからかろうじてダイヤモンド富士
2013年3月
石神井公園のネコヤナギ いよいよ春の到来
【編集後記】
先日(2月7日)、「大阪インターナショナル・ギフトショー」の会場展示ブース(天満橋OMMビル)に、新人の満癒姫さんが遊びに来てくれた。
たまたまその日、彼女の仕事の関係の「アロマセラピー」の講義が大阪で開かれたようで、勉強のついでに「ギフト・ショー」の見学も、とスケジュールを組んでくれたのです、姫、わざわざありがとうございました。
あまり時間を取れなかったのが残念だったが、彼女のエステサロンに似合うような自然食品(ハーブティーの類)や硝子製品など、新しい感覚のものを見て回ることもできたし、俳句の話もちょっとだけすることができた。
何に対しても研究熱心で、ものごとを素直に学び取れる性格は、きっと仕事にも俳句にもこれから十分に発揮されていくことだろう。
まだ30代! 10年続ければどんな俳人に成長してゆくのか、本当に未来が楽しみである。そのころにはわれわれはもう古稀のおじいちゃん、おばあちゃんなんですけどね。〈笑〉
(文責 葱男)
■消息
水音
●ミクロンの金箔の透き紅葉散る 山下水音
『俳句界』3月号/「雑詠」【佳作】(豊田都峰 選)
●朴落葉荒き呼吸をしてゐたり 山下水音
『俳句界』3月号/「雑詠」【佳作】(宮坂静生 選)
砂太
●菊花展終へる匠の手の香る 白川砂太
『俳句界』3月号/「兼題/手」【佳作】(古賀しぐれ 選)
●冬枯や一点不動の鷺佇てる 白川砂太
『俳句界』3月号/「雑詠」【佳作】(山本洋子 選)
葱男
●侏儒ひとり舞台の下手木の葉散る 中島葱男
『俳句界』3月号/「兼題/手」【佳作】(名和未知男 選)
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