*無法投区/春待月

〜凧糸の切りまで伸びて初御空〜

*飾売求め游々浅草散歩=資料官

●駅前に注連縄売の屋台来し
●駅前の路地にやうやく飾売

*

昭和の飾売の姿
(日本新薬という京都の会社の昭和56年のカレンダーより)

 12月の兼題は「飾売」となかなか良い御題。これは実物をしっかり見てからと思っていたが,なんと締切日は12月25日のクリスマス。これまでの経験ではクリスマスの翌日から駅前に屋台が並び,一夜にしてピーンと張り詰めた年の瀬の雰囲気に一変する。毎年この緊張感を味わいつつ数え日の仕事に出かけたものである。したがって今年は何処かで見つけるか,過去の記憶を呼び戻して作るしかない。
 クリスマスの頃からスーパーなどの売り場には飾売のコーナーができているが,これではまったく面白味もない。ということで12月の三連休に浅草まで出かけて探すことにした。上野でJRからメトロ銀座線に乗り換えおおよそ1時間で浅草に到着。浅草は年末でもかなりの賑わいで,仲見世の人の列を掻き分けてまずは浅草寺参拝へ。昭和44年10月の修学旅行ではお参りもせずに東武浅草に走りたいへん失礼をしたが,その後東京に住むようになってからはこのように時々出かけては参拝している。仲見世から境内に向かうとところどころでスカイツリーの姿が見え,そちらにカメラを向けている御仁も多い。さてさて境内をあちこち探したのだけど,普通の屋台は出ているものの,飾売の姿はなく,やはりクリスマスが過ぎなければ飾売は出ないのだろうとあきらめた。せっかく浅草まで来たのでスカイツリーの見物スポットの散策に切り替えた。
24年4月に雷門の反対側にある「浅草文化観光センター」がリニューアルオープンしておりそこの8Fが「展望テラス」になっているのでまずはそこに上った。隅田川からは離れているがスカイツリーもあのアサヒビールの金色の●●●の形をしたオブジェもよく見えるし,ここからは仲見世から浅草寺までが一望できる。ここは無料で,トイレ完備,台東区の観光資料がそろっている。何よりも屋上に上がるエレベーターが混んではいなかった。8Fには喫茶店もあり最高のロケーションで休憩できるので,浅草に行ったら是非立ち寄ることをお奨めする。
それから,11月に開業した東武浅草駅のある松屋浅草店の屋上の「浅草ハレテラス(以下,ハレテラス)」に上る。松屋のエレベーターは結構混雑していたが,大半の方々は7Fの食堂街で降りて屋上に向かう人はまばら。この「ハレテラス」も悪くはない。隅田川とその向こうのスカイツリーと金色のオブジェも良く見えるし記念撮影スポットにもなる。そもそも,ここから東武浅草駅に発着する東武電車の写真が撮れないかと期待して上ったのであるが,屋上の線路側の区域は機械室などの建物があって立ち入ることができなかった。それでも,隅田川を渡る東武電車とスカイツリーの写真は何とか撮影できるので,ここも上る価値はあると思う。ただ,松屋と隅田川の間の区域に高いビルができると,「ハレテラス」からは隅田川が見えなくなり見物スポットしては面白味がなくなるだろう。そういえば昭和47年の夏近々姿を消す都電の撮影に浅草を訪れ,松屋屋上から吾妻橋を渡る都電の写真撮影をしたことがあったが,現在周囲はビルが立ち並び屋上から吾妻橋すら見ることはできなくなっていた。何につけても昭和は遠くなりにけりを実感する游々浅草散歩だった。

*1 *2 

1:2012年12月23日(以下同じ)
仲見世よりスカイツリー

2:浅草寺境内 早くも初詣の準備が進む

*3 *4 

3:屋台はあるが飾売の姿なし 

4:境内のどこからもスカイツリー

*5 *6 

5:浅草文化観光センター「展望テラス」から仲見世と浅草寺を一望

6:浅草文化観光センター「展望テラス」からスカイツリー

●スカイツリー粋な雅びの聖夜の灯
●年惜しむテラスから見るスカイツリー
●スカイツリー待てど暮らせど飾売
●数え日やまだまだ数えきれぬこと

*7 *8 

7:浅草ハレテラスからスカイツリー 
  鉄橋を東武電車が渡る 

8:浅草ハレテラスの展望スポット
記念撮影用のみこしを設置
頼めば記念撮影をしてくれる


【編集後記】

みなさま、明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 ●聖夜かな徹子の部屋にセレネッラ 

*

私事で誠に恐縮ですが、おめでたい話があったのでひとつご報告!
去年のクリスマスの当日、クリスマス特集の「徹子の部屋」に初めてセレネッラの咲くころのショールがテレビ画面に映りました!
可愛い!! 自画自賛です。着こなしも流石に徹子さんです。だけど、ショールの下のセーターを作った作家さんはがっくり、でしょうね、なんにも見えない。どなたの作かは分りませんが、ごめんなさいね。

ともあれ、2013年はいろんな事が「丘ふみ」も含めて飛躍の年になりそうな予感です! 102号からは第11回「俳壇賞」(1997年)の金子敦(ラスカル)さんも参加して下さいます。
ラスカルさんの選と講評を戴けるのは私達にとってどれだけ勉強になるか分りません。 「俳句道」の宗匠、「俳句生活」の砂太先生、「俳句教室」のラスカルさんと三本の柱がそろった「丘ふみ」はなんと贅沢な俳句クラブでしょう。

ラスカルさんのほかにも新しい顔ぶれがいっぱい増えました。阿Qさん、十志夫さん、満癒姫さん、紅椿さん、102号から参加のまさ子さん、どんどんと新しい風が吹き込んできます。西から吹く初春の風です。

*

 (文責 葱男)


■消息

葱男
●粗熱のとれずに二十三夜かな  中島葱男
『俳句界』1月号/「雑詠」【秀作】(大串 章 選)


水音

●海底に都無しとて秋の潮  山下水音
『俳句界』1月号/「兼題/無」【佳作】(橋爪鶴麿 選)

砂太
●動物園の奥の寂しさ秋澄めり 白川砂太
 
『俳句界』1月号/「雑詠」【佳作】(宮坂静生 選)


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