2017・写真俳句大賞=葱男

2017年度の「写真大賞」選考結果です。

「写真大賞」の選考は、作品の出品者が明記されているので、公平性を欠くのではないか、という理由で選考を辞退された方もいらっしゃいます。
みなさん、いろんなご意見があると思いますが、それはそれとして、2017年度の「写真俳句大賞」は部員有志の自主的な選考の結果、まさこさんに決まりました。

以下、「写真賞」「俳句賞」も写真家の栗原隆司さん、俳人の金子敦さんと、「丘ふみ部長」である私の投票結果をもとに以下のように決定いたしました。

受賞されたまさこさん、資料官さん、やんまさんには、後日、私の趣味で極私的に選んだ賞品をお送りいたします。
楽しみにお待ちください。

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■写真俳句大賞

 

259・小春日の影のびのびと会ひにゆく  まさこ
○紅、茶、し、修=4点
(し:誰に会いにいくのかしら。ウキウキした気持ちが伝わります。)

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219・長編の謎そのままに夜の秋  葱男
○資、虹、香=3点
(虹:雑然とした文机と読みかけの本。絵になる。)

221・目標に向かふ直線夏立ちぬ やんま
○葱、ラ、喋=3点

227・空蝉のかたち残して旅に出づ=資料官
○清、裕、喋=3点

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185・春愁やカロリー0の甘味料=ラスカル
○十、秀=2点
187・受付に配属されし古雛=葱男
○十、裕=2点
197・子規庵に寝つころがつて黄水仙  資料官
○茶、香=2点
(葱:「子規庵」には行ったことはないのだが、26宗匠から「子規庵」でお土産に売っている「糸瓜の種」をいただいたことがある。種はまだ庭に植えられず、私のアトリエに保管してある。この構図、黄水仙の手前に低く寝転んで、俯瞰で中景に「木賊」」そして庵の縁側となかなかの映像美だと感心しました。)
199・散る花に生かされをるや老いの影=茶輪子
○ラ、メ=2点
210・引退のその日爪切る夕焼かな  茶輪子
○ま、香=2点
214・浮御堂の我が身を映す吊行燈=葱男
○清、茶=2点
235・ブルースの火のくすぶれる大文字=葱男
○ラ、し=2点
(し:火の繋がりが良いですね!)
241・豊年や子供を両の腰に乗せ=サブリナ
○ぶ・葱=2点
254・いい人でゐるのは止めた菊日和=ぶせふ
○資、ま=2点

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175・初詣「阿」に睨まれて「吽」を撫づ  葱男
○メ=1点
176・冬うらら友だちいっぱい出来たらな=やんま
○葱=1点
180・水仙や田舎へ戻る予定なく  資料官
○喋=1点
181・艦船に今も船長涅槃西風  やんま
○修=1点
191・菜の花や立ち尽くすかに揺るるかに=玻璃
○資=1点
193・獣となりて荒野へシャボン玉=ぶせふ
○清=1点
198・ふらここやこの世に在りて夢の中  やんま
○雪=1点
(ぶ:写真と俳句がお互いを響かせ合って、この世にあって日常を抜け出すような遊び心を感じました。) 204・男にも乳首のありて藤の房=ぶせふ
○十=1点
207・借景の山滴りし圓通寺  清一
○裕=1点
208・「イマジン」の願いを乗せて風薫る=しゃが
○ラ=1点
209・午後よりの鬱育ちゆく茂かな=ラスカル
○秀=1点
211・哀しみを吸うて吐くなり蛍袋=玻璃
○ぶ=1点
222・あぢさゐやいつまで咲ひて呉れますか=清一
○虹=1点
(虹:往年のフォークソングを彷彿とさせる。実は私、フォークの出身。)
225・万緑の奥に五歳の吾潜む=ラスカル
○メ=1点
237・草深き僕の細道地虫鳴く=やんま
○紅=1点
238・ベンチにも吾にも冬の積もりゆく=ラスカル
○し=1点
(し:冬の積もりゆくが素敵な表現ですね。)
240・カフェテラスに吾一人きり木の実落つ=ラスカル
○修=1点
245・酔芙蓉ゆうべのことは聞かないで=資料官
○ぶ=1点
247・吾亦紅古民家カフェに夢二の絵=葱男
○秀=1点
250・茶碗蒸しより銀杏を発掘す=ラスカル
○虹=1点
(虹:屈託のないちょっとした戯れ。) 251・ひととせを老いては集ふ神無月  葱男
○雪=1点
258・ベンチにも吾にも冬の積もりゆく  ラスカル
○紅=1点
261・彫像の不意に動ける]’mas 葱男
○ま=1点
262・晩秋の高原列車山近し 資料官
○雪=1点

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写真賞
180・水仙や田舎へ戻る予定なく  資料官



葱選
★176、179,180、184,191,208,210,★221、227,★241、257,262
喋選
★180、186、195、199、220、★221、★227、232、254、259

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俳句賞
221・目標に向かふ直線夏立ちぬ やんま

 

●葱選
★176、204、209,211,★221、234,★241、254

●ラ選
182(182・春の雪消ゑかかるもの消ゆるもの:「消ゑかかる」は誤りで、旧仮名遣いでも「消えかかる」です。「消えかかる」として頂きます。)
192、★199、202、★208
211(211・哀しみを吸ふて吐くなり蛍袋:「吸ふて」は誤りです。「吸う」に「て」が付く場合はウ音便になりますので、旧仮名遣いでも「吸うて」です。「吸うて」として頂きます。)
221、★235

註:★印は「大賞」ノミネート句です。211番、221番が2票ずつを獲得しましたが、残念ながら上記のように玻璃さんの句は旧仮名遣いが間違っているので残念ながらやんまさんの句が賞にふさわしいだろうということになりました。


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