金子敦・第五句集「音符」=葱男

今月、金子敦さんの

*第五句集「音符」

が「ふらんす堂」から発刊された。

この句集は2012〜2016年に詠まれたものから350句を集めたものである。
この期間はちょうど金子さん(ラスカルさん)が「丘ふみクラブ」に入部した時期にほとんど重なっていて、彼自身も私個人へのメッセージに「丘ふみに出句されたものが多く含まれているように思います。」と書いてくれている。

実はこの句集を編むにわたって、去年、彼から私にも選句の依頼があった。
最終的にはどんな俳人の先生方の選を参考にされたのか、もちろん決定稿にはご自分で納得のゆく350句を選ばれたのだろうが、こんな私にも声をかけてくれたことがとても嬉しかった。
そして、私は、(俳句のプロでも達人でもないので)おそらく相当に葱男サイドに偏った選句を彼に送ったかもしれない。
金子さんと言えば現代の中堅の俳人の中にあっても特に今人気のある作家だと思う。それはこの句集の「栞文」を書かれた杉山久子さんも書かれているように、例えば「猫好き俳人」あるいは「スイーツ王子」と呼ばれるようなメルヘン系、癒し系の抒情を特異とする魂の純粋性や少年性を湛えた俳句が彼の持ち味でもある。

無論私は以前から、(「砂糖壺」の時代から)そのような彼の句柄が大好きで彼のファンになったのだが、この数年、句会を共にして彼の俳句のもっと深いもっと繊細な一面に惹かれるようになっていった。
だから、金子さんから1000句にも及ぶ句群が送られてきて、その中から300余りの句を選ぶにあたり、「スイーツもの、猫もの」のほぼ90%のは選ばなかったような記憶がある。

杉山久子さんはその「栞文」にこう書かれている。

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春惜しむ画鋲を深く刺し直し
独り占めか一人ぼつちか大花野

画鋲の句に見える微妙な心理的陰影、大胆な転換が鮮やかな大花野の句など、これまでの繊細さに加えて、ある種の強さが加わってきたように思う。
最後に、敦句の新しい展開を予感させる、痛みと救いを思わせる静謐で美しいこの句を。

鉄条網ひとつひとつの棘に雪

これから生まれる新しい音楽を楽しみにしている。

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「新しい音楽・金子敦句集『音符』ー杉山久子

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