Calling you=葱男

★目の奥に銀幕の雨初蛍=葱男
(十:古いフィルムに走る斜線を雨に喩えているようにも、最後に流れるエンドロールを雨と見立てているようにもとれる。劇場を出てなお網膜に流れるエンドロールの残像に蛍の飛び交う姿を重ねていると考えたほうが新鮮ではある。)

★皐月晴ときどき眩暈する日かな=水音
(紅:私も最近めまいがしますので、共感いたしました。確かに晴れの時の方がしますね。 夏:共感です。が、フィジカルな眩暈だけでない心の眩暈なのかとも。)

★水面を砕く光や青葉闇=秋波
(ラ:「光」を「砕く」という表現が新鮮です。)

★Calling you 海を思へば東風=葱男

★彼逝きし蕗むく吾のいたりけり=水音

★玄海に慟哭の涛あいの風=秋波
(紅:「あいの風」を勉強させていただきました。)

★青時雨ベンチに濡るる野球帽=雪絵
(葱:この句には寂しさが深く漂っている。濡れた野球帽には作者の少年時代への郷愁が感じられる。「青時雨」の「青」色彩感が一層、哀切なるものを助長している。)

★五月病と呼ばずにおこう魚焼く=夏海
(ス:それがいい!と思います。) ★五月晴れあの世この世も紙一重=喋九厘
(阿:一木君、また会いたかったな。) ★ポセイドンに召されし魂首夏の海=秋波

★沖へ向く露座の仏や青嵐=まさこ
(水:強い風を顔に受けて、でも、爽快感がいっぱい。 夏:これも白髪鴨さんへの哀悼の句でしょう。 ス:かなしい五月の海をふと思いました。 十:漁の安全のために小さな漁村あたりに置かれた石仏だろうしかし、この句もまた白髪鴨さんへの哀悼の句と詠むべきだろう。 資:鎌倉の大仏でしょうか。海から離れているけど沖へ向くいって青嵐をもって。 雪:今でも嘘であって欲しいと・・。)

★命数にゼロを掛けたるヨットかな=葱男
(十:白髪鴨さんの命数〈寿命〉に0を乗じて0にしてしまったヨット。鮮烈な哀悼句。 紅:現実を受け止めようとしているのでしょう。独特な表現に感心致しました。 夏:中七が胸に迫ります。)

★青嵐うら返りたる座標軸=水音
(夏:白髪鴨さんへの追悼句と読みました、合掌。 ス:物理学者や理系人の眼にはそう見えるのかも。視点がユニーク。)

★青嵐友曳く海の玄きこと=葱男
(君:抑制した一言一言に深い想いが感じられて。 五:白髪鴨さんの最期を衝撃的に表現している。曳いているのはヨットだが、もう、海も空もヨットも一体なのだ。「卯の花や君海原を走らせる=ご」。今ごろ、白髪鴨さんは天の海原でヨットを走らせているだろう。 紅:「玄きこと」が身にしみます。)

★未知数の別れもあらん桐の花=葱男
(五:これも白髪鴨さん追悼句?数学の好きな白髪鴨さん。君は未知数を残して天へ。 紅:淡々と詠んでおられますが、季語が効いています。 夏:突然の別れは殊のほか哀しい。)

★抱きたるいのち数多やポピー畑=夏海
(紅: 優しさが伝わってくる、命の尊さが伝わってくる、とても素敵なお句です。 五:「数多」の句から一つ。いのちが数多というのはどういうこと?)

★観音の手の数かぞふ五月病=水音
(十:千手観音の手を数えはじめたら、やはり病気と言える。そんな不可思議な行為と若者の心の病がうまく合っている。 ま:こころのもやもや晴れますように。。)

★水晶の数珠のひんやり時鳥=まさこ
(ラ:数珠の「触覚」と、時鳥の「聴覚」との融合。)

★麦秋や命数法の世界観=夏海
(資:良くわからないけど良い。)

★青嵐くちずさみけりヘイ・ジュード=スライトリ・マッド
(久:世代的に青嵐はこれかなと思いますね。)

★不可算の名詞数々卯波寄す=スライトリ・マッド
(水:不可算名詞と卯波の取り合わせが良いと思いました。白髪鴨さんの評を読みたい。)

★無限なる素数の不思議や夏に入る=君不去

★数学を愛せし君よつばめ魚=五六二三斎
(ま:そうでいらしたのですね。。) ★数珠玉や合掌の間に遊ぶ汗=久郎兎

★常無らず初夏の無常や数合わせ=喋九厘