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ブルーヘイズ・ノイズ　玻璃の展覧＝葱男

とても美しい詩歌集が届いた。

「ブルーヘイズ・ノイズ玻璃の展開図」という。

この一冊の本の宇宙には言葉、写真、絵、もっと乱雑に言えば、落款、英語、ポエム、１７音、コラム、熨斗紙や帯留、ウエディングドレス、サングラス、マニキュア、猫、稲穂、銀と真珠、兎、スカッパ・ナポリ、吉田良一、百合、鈴、などなどが隠れている。(本人にも分からないかもしれない)

私は、句集などの本には大抵鉛筆で縦線を引いたり、☆印を付けたり、平気でその本を汚すのが癖なのだが、この詩歌集には、好きな箇所があっても何も書き込まないことにした。

そして、この詩歌集を読ませてみたいと思う三人の友人の顔が思い浮かんだ。
詩人と心療内科医と商業デザイナーである。
不思議と俳人の顔は思い浮かばなかった。

著者の英子さんはなんと思うだろう？

なんだろう？
今の私の気分は、葱と檸檬と赤のスパークリングワインを彼女に捧げたい気持ちである。
おめでとうございます、これまでに見たことのない、とても素敵な詩歌集でした。近々、AMAZONでも購入できるようになりそうです。

■徳重英子・プロフィール

1964年　岡山県岡山市生まれ
1981年　岡山県立岡山一宮高校　卒業
1985年　神戸親和女子大学　文学部国文科　卒業
2013年　放送大学院　文化科研究科　在学中
株式会社リクルートを経て２０１０年、メンタルケア心理士、准メンタルケア心理専門誌の資格を取得して精神医療のすき間を埋めるカウンセリングルーム「メンタルケアカウンセリング・くりすたる」を開設、代表
。現在、メンタルケアと表現の融合で失われた絆、失われつつある情緒の再生を目指すラジオ・プログラム「FM845 carabiner in Blue」のラジオ・パーソナリティー。
エッセイスト、シナリオ・コピーライター、詩人、俳句作家、川柳作家。

詳しいプロフィールは ホームページ をご覧ください。

　

　

詩歌集「玻璃の展開図」・掲載全句　

靴音の乾いてゆけり月天心

葉の方が鉄砲らしき百合であり

冬の蝶ひとりつきりが襲ひくる

まつくろなもの芽吹きたる人のゐて

喉元をただ駆け抜けてゆくビール

Chain saw　の青く染むまで草刈りて

蜉蝣のかさなり果つる朝かな

毒だけになりたくないの黴の花

こつそりとオルゴールのなか蛍飼ふ

梅雨夕焼け頸動脈を探る指

線香花火叫ぶやうに消えてゆき

炎天の歩道橋に立ってゐる

月涼し指輪を外し手を洗う

風穴にふくら雀の棲みつきぬ

炎天の歩道橋に立つてゐる

万華鏡の音聴いてゐる夜長かな

交点を問ふきみのをり天の川

眼も耳もなく案山子立ってゐる

ワセリンを掬ふて独り風死せり

登り来て山あぢさゐのまだ青し

五月雨やバンドネオンが泣くやうに