● この、蔦のからまる素敵な外観だけがナポリの安宿の自慢だった。 二階のツインルームの真下は何かの部品を作る旋盤工場。 まわりのビルは映画で観たブロンクスみたいな雰囲気で、華僑や黒人の労働者がせわしく出入りしているが何の事務所なんだかさっぱり見当がつかない。 近くの教会はのべつカンカンカンと警報みたいに鐘を鳴らすし、第一シャワーのお湯がでないし、冷蔵庫も壊れている。 まあ、良いところといえば、駅に近くて安い、というところでしょうか・・。 | |
●流石はナポリ、数々の洗礼にみまわれる。 こちらが数少ないボキャブラリーの中からやっと「野菜料理」を頼んでるのに、強引に店の自慢の魚ばかり盛り付けて来る。(これが安くて旨いんだけど??) ポンペイ行きの電車が途中で止まって1時間で行くところをチャーターバスに乗り換えさせられて4時間かかった。 朝っぱらから出発前の電車の車両に乗り込んで来て大声でナポリ民謡を唄い、バクシーシーする芸人。 このジプシ−の子は健気だったなあ〜、1ユーロでにっこりとポーズ! | |
●一瞬にして火山灰に埋まった町、ポンペイ。 生身の人間もこの女神も同じように永遠に化石と化している。 ヴェスビオの裾野に従う二つの町ナポリとソレントの中間にあって、2000年前の栄華を幻として売る、巨大遺跡や円形競技場。 観光客のひしめく熱い午後、2000年前の水道からほとばしる水が冷たい。 *幻世の遺跡に沈む夏の夕 |