●福岡城の掘り割りに沿って植えられたソメイヨシノがそろそろ二〜三分咲きである。 満開の櫻は華やかではあるけれど、花の終わりを間近にした、「もののあわれ」の気分のほうが先に立ってしまう。 まだ、咲き初めたばかりの時分の花は明るい未来を感じさせて、よりあたたかな喜びを与えてくれる。 ●さくらさくらひとりぼっちはきらいです そんな可愛らしい句を詠んだ素敵な女流俳人がいたっけ。 |
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●ま、このようなおじさんを、花見ではよく見かける事になる。 はい、自分がまさにこのような「浮かれモード花見人間」と同種の存在である事はよ〜く承知致しております、です。 「なんばつや〜にしよ〜とか! しゃんしゃんせんと、こっちにきちから一緒にしゃけばのみんしゃい!」 わが世の春、この世の春なのである。 定番、定番。 | |
●お城にかかる橋から沈みかけた日没をみんなで眺める。 眼前に広がるこの世のものとも思えないほど、あまりにも美しい夕陽・・・。 その博多暮色は決して現在だけの色としてではなく、40年のはるか昔の色も、このさき何十年もの未来の時間をも含んで、奇跡のように美しく茜色に輝いていた。 ●二分ほどに花燈しけり里衣=月下村 |