世界が変わる 沖縄が変わる

かかず1

■嘉数 学 KAKAZU MANABU

1966年 沖縄県那覇市生まれ
1985年 沖縄県真和志高等学校卒業
1990年 沖縄YMCA英語ビジネス専門学校卒業
1990〜95年 京都で井戸掘りに従事
1995〜97年 京都で英会話スクールに通いながらボランティア活動にあけくれる。現在、那覇市識名に住み、本書を書き下ろす

 「田舎者」ー私が嫌いな言葉の一つです。もっと正確に言えば地方文化の魅力も知らないくせに、言葉や生活様式が少し違うだけで他人を見下す人間が、私は嫌いです。その一方でなまりがでないように必死になって共通語を話したり、都会人の様に振る舞おうと背伸びする人を見るとあわれに感じます。それは結局自分を否定することになるからです。
 この二〜三年沖縄の基地返還運動が国の内外で注目され、テレビや新聞などで様々な角度から議論されるようになりました。もちろん議論ですから、反対意見がいくつも出てくるのですが、内容をよく見ると次の一点に集約されます。
「基地返還運動は、世界の常識を知らない独りよがりの主張であり、現実性がない」。
 この反論は、沖縄が世界へ平和を訴えるためにどうしても乗り越えなければならない壁だと思います。

 私達はこの課題に真剣に取り組まなければならないのですが、だからといって世界の常識とやらに合わせて自分を変える必要はありません。世界という大都会で、沖縄から来た田舎者が背伸びをしてよそゆきの言葉を使って主張しても、惨めな結果が待つだけです。群集を振り向かせるためにはまず自分を信じ、そして自分の言葉で自分の意見を述べるしかないのです。
 自分を信じ続ければ、やがて誇りが生まれます。そして誇りを持つことで人は周囲から認められるのです。国際社会が沖縄の声に耳を傾けるかどうかは、全てその点にかかっていると思います。
 この提案集は、その「沖縄人の誇り」を持つための私のささやかな、でも大きな試みです。「現実」を越えるための第一歩をあなたも踏み出してみませんか。   1998年6月  著者。